雉類の飼料(餌)

雉類の飼料(餌)
雉類の飼料(餌)

雉類の飼料として、トウモロコシ、小麦、大麦、コウリアン、キビ、ソバを配合します。産卵率を高める為にはビタミンに各種微量成分も必要です。ビタミンA、D、B12、リボフラビン、鉱物質として炭酸カルシウム(カキガラ)に食塩を加えます。また骨粉、ミネラル剤、緑餌を与えます。


抗生物質には人間にはあまり使用しないオーレオマイシンとかテラマイシンを使用します。極微量成分として、マンガン、亜鉛、銅、沃度(ヨード)、リン等も必要です。動物質として、魚粉魚粕、蚕蛹粕、脱脂粉乳ですが、蛋白質は幼雛で30%、産卵鳥で20%で良いでしょう。


植物質としてはマメ科植物が良く、アルファルファの乾燥粉末は蛋白質、ビタミン、リンサン、石灰も豊富で産卵有精率を高めます。成鳥に対する配合の割合は次の様にいたします。

穀類:50%
ヌカ・フスマ:30%
魚粉:20%


アメリカにはラルストン・プリナ・カンパニーという世界最大の飼料会社がありますが、各種動物飼料をペレットの形にして販売しております。殆ど完全な程にまで雉水鳥用の優秀配合飼料の製造に成功しております。上述しました微量成分も配合しなければならず、自家配合では完全栄養食を作り難いですから、最近では国内市販の配合飼料を使用した方が便利なのです。


これならば餌付け用、幼雛用、中雛用、成鳥平時用、産卵期用と成分を異にした数種類の飼料を売っています。幼雛用で、蛋白質は30%、成鳥用で20%前後ですが、産卵期用としては微量成分を完全配合する必要があります。


しかし、値段の点では自家配合の方が3割程度安上がりでしょうから産卵期用とか餌付け用には配合飼料を用い、平時用としては自家配合で良いかと思います。配合飼料はペレットの形のものが良いです。ペレットにすれば値段が高くなりますが、ペレットにしたものを粉砕したものをクランブルと言います。この形の物もおすすめできます。


鳥は粒状の餌の方が食べやすく喜びますし、且つ単なる混合物では鳥は好きなものだけ先に食べて、好みでない物を後に残しますから折角配合割合が完全であっても体内に入る成分は完全配合にならないことになります。


此の点、ペレットですと完全成分の儘で体内に入ります。また、餌こぼれが少なくなるという点にもペレットに利点があります。日本では養鶏用として配合飼料を売り出しており、雉水鳥用としては未だ出ていません。養鶏用は安価が条件となりますから、多くは粉末混合物の配合マッシュで、ペレットも少しは出ておりますが、その代わりペレットの場合は値段があまり高くならないように品質を落としますからペレットは必ずしも良くありません。最近は格安で高品質の専用飼料が販売されています。


雉・水鳥は高価だし、また数も少ない貴重なものなのですから高価な餌を使用するに十分な価値があります。次に、孵ったばかりの雛に餌付け、および育雛に必要な飼料については、チックフードと卵黄で通常間に合います。


特殊なものとしては、ミルワーム、ドッグフード、蟻の卵袋などが愛用されます。ミルワームは小麦、穀類に付く害虫で、欧米では必ずと言ってよいほど希種や難飼の鳥の雛の餌付けと、数日後までの餌として使われています。


また親鳥にも繁殖期に与えると有精度が高くなります。良質の蛋白質を持ちビタミンも多く、且つ脂肪も豊富ですので過多に与えないことも大切で、二日に一日は休止するのが宜しいのです。


万能餌のミルワームの養殖には30cm四方と、深さ15cmの木製の箱を用意してこれに糠、フスマ、小麦粉を半分位入れます。或いは成鶏マッシュを入れても良いです。


これにミルワームの成虫10匹くらいを放ちます。此の上へ毛布片とか、発泡スチロール片を乗せておきます。且つ薄く切った馬鈴薯や草などを入れておきます。やがて白い卵を産み、2週間もすれば幼虫が沢山発生します。90日で成虫になります。


幼虫は糞をしますし、又数回の脱皮の皮が飼料の中に蓄積しますから、此れを取り除き、餌も新しいものと替えなければなりません。この虫は暗所を好みますから暗い処に置き、木製の箱には幼虫や成虫が逃げないように多数の小さい穴を空けた蓋をしておきます。


幼虫は、1日2~3匹位与えます。稀種の雉、水鳥を繁殖する場合、最も貴重な役目をします。ミルワームは約3cmの大きさになり、色はやや黄灰白色です。成虫は黒色で1.5cmの大きさがあります。また、温度が高いと幼虫の発育が盛んで、早く成虫になり使用する期間が短くなりますから多少冷却して発育を抑えてやるのも上手な繁殖法といえます。ミルワームは寒さに強いものです。


他に、ブドウ虫、フクロ虫等も良いですが値段が高いですね。ミルワームに次いで実用性があるのがサシです。サシというのは蠅の幼虫のことですが、此れは釣具店で購入できます。しかし、このままでの使用は危険で、使用前に熱湯で消毒して与えないといけません。


次にドッグフードですが、これは犬の栄養食品でペットショップで売っていますが、成分は大体次の通リです。

粗蛋白質:23%以上
粗脂肪質:7%以上
粗繊維質:4%以下
灰分:10%以下
カルシウム:1%以上
水分:10%以下



此れは使用の際、熱湯で柔らかくします。此のドッグフードはミルワームの代用品として或る程度間に合います。育て難い雛を育てるのに大変有効で、餌付けから与える事が出来ます。また雷鳥にはこれを主食として飼うと好成績です。


蟻の卵袋は雉が山中で地面を掘り、卵袋を探し、雛に与えているのを見ることがあります。デラクール博士はこれを使われているようですが、当方は経験がありません。


ビスケットもバターやミルク、卵で作られていますから、その粉末は養雛にも良いですし、卵とミルクで作ったカスタード、馬鈴薯も飼料として結構です。


緑餌も大切です。特にジュケイの場合は此れが主食となります。白菜、レタス、キャベツ等ですが、牧草も良いです。マメ科のアルファルファについては前述した通りです。これらを飼料に加えますと、野菜は不要となります。野菜不要のサプリとしては緑藻であるクロレラも大変良いです。


クロレラは大豆とホウレン草を一緒にしたより優れた栄養価があると言われており、宇宙食としても重要なものになりつつあります。クロレラは蛋白質が50%あり、脂肪、炭水化物、鉄、銅、リン、ヨード、マンガン、硫黄などを含み、ビタミンも殆ど凡ての種類を含みます。


しかし、食塩とかカルシウムに乏しく、此れは他から補なう必要があります。クロレラは鶏などは胃腸を損ずる恐れはあるようですが、野生鳥には大変結構です。


クロレラに似た葉緑素製剤にグリーンソリブルと称するものがあり、これも野菜代用添加剤として役立ちます。これはビタミンAを強化してあり緑色の液体ですが、其の30倍希釈液を飲水に添加しまた、飼料に練り合わせて与えます。


ビタミン抗生物質の混合物にテラエッグがあります。これはアメリカのファイザー社製で、テラマイシンとビタミンAが主剤ですが、これにビタミンK3、ビタミンE,ビタミンB12、ビタミンD3、ビタミンB2、パントテン酸カルシウムを含みます。健康増進と産卵増加に効果があります。


ビタミンKは内出血を起こさぬようにする働きがあり、ビタミンEは生殖力の増大に役立ちます。ビタミンB12は血液を作る重要な働きがあり、欠乏すれば貧血とか成鳥の衰えを起こします。ビタミンB2も成長促進に寄与します。パントテン酸も成長に関係し、蛋白質や脂肪の合成に役立ちます。冬季や寒気の厳しい間は穀類を多給すようにしてやります。


これだけの成分を自家配合で整える事は不可能でありますから、飼料は既成の専用配合飼料を使用するべきでしょう。

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キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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