その他の合成抗菌薬について


ニトロフラン(nitrofurans)



ニトロフラン剤は広範囲な抗菌スペクトルを持つ合成抗菌薬ですが、水や有機溶媒への溶解性が悪く、専ら経口投与によって用いられる。


代表的薬物はフラゾリドンです。

体内動態



ニトロフラン剤を経口投与したときの体内動態は3種類に分類できます。


①吸収されずに糞中に出る薬物や逆に急速に吸収されるが肝の1回通過によって消失してしまう薬物。この種の薬物は経口投与による薬効を期待できないので、専ら局所感染治療薬として用いる。


代表的薬物はニトロフラゾンです。


②上部小腸で急速に吸収され、未変化のまま急速に尿中に排泄される薬物。この種の薬物は尿路感染治療薬として有用です。


代表的薬物はニトロフラントインです。


吸収性が悪く(水に溶けにくいから)、約半量が糞中に排泄される薬物。このことは他の半量が小腸から大腸にかけて少量ずつ吸収され続けることを意味し、細菌性下痢症の予防治療薬として有用です。


代表的薬物にはフラドリゾンがあります。


①の薬物は外皮用配合剤に用いる。②の薬物は人体用に用いられています。③の薬物の飼料添加剤は鶏や豚の細菌性下痢症の治療に有効性が高いが、発癌性の疑いがあるので使用を禁止したり制限している国が多い。

抗菌作用



グラム陽性、陰性の両方の菌種に対して静菌・殺菌作用を示しますが、特に陰性菌に対して強い。宿主細胞内で増殖する菌に有効であり、耐性菌の発生頻度が低い。

発癌性



雌ラットの飼料に高濃度添加して長期連続投与すると乳腺癌が発生する。この発癌はニトロフランが体内のエストロゲン分泌を促進するために起こる間接発癌だと言われています。

●フラゾリドン(furazolidone)


鶏や豚のサルモネラ症の予防治療に高い有効性を発揮する。


●ジフラゾン(difurazone, nitrovin)


同効医薬品です。


●ニフルスチレン酸(nifurstyrenic acid)


魚類専用のニトロフラン薬


p-ジオキシ・キノキサリン誘導体:カルバドックス(carbadox)



p-ジオキシ・キノキサリン誘導体には強い抗菌力を示す数種の薬物が知られており、豚専用医薬品として用いられています。代表的薬物はカルバドックスです。


カルバドックスは水や有機溶媒への溶解性の低い黄色粉末で飼料に添加して投与されます。吸収性の良い薬物ですが、肝で代謝され、体内消失速度は速い。


カルバドックスの抗菌スペクトルは広いが、一般にグラム陰性菌に対して効力が強い。耐性菌は発生しにくく、また抗生物質との交叉耐性も知られていません。


豚に経口投与するとサルモネラ感染症への治療効果が強いだけでなく、豚赤痢の治療効果も高い。カルバドックスには発癌性の疑いがあるので、その使用を制限している国が多い。


オラキンドックス(olaquindox)は同効医薬品で、豚の飼料添加物として用いられる。

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