骨の栄養障害(Metabolic Disorders of Bone) ~ 骨軟化症(osteomalacia)


骨軟化症



骨軟化症はクル病と同様に、カルシウム(およびビタミンD)あるいは燐の代謝障害にもとづく骨病です。


クル病がもっぱら発育中の幼畜の骨に発現するのに対して、骨軟化症は成畜の骨からカルシウム塩類が脱出するためにおこるものです。


骨軟化症において吸収溶解された骨質は、クル病と同様に類骨組織が補填されるのであって、両者の病的変化は同一と考えられ、骨軟化症はadult ricketsと呼ばれることがあります。


骨軟化症は燐の欠乏によって、牛とくに妊娠または泌乳期の乳牛に発生することがもっとも多い。土壌の不良な地帯に、とくに旱魃後に発生し、しばしば地方病的な様相を呈します。


羊ではカルシウムまたはビタミンDの欠乏によっておこることがありますが、馬、騾馬ではごく稀であり、犬、鳥類ではほとんど発生しない。


本邦の多雪水田地帯の馬に、晩冬から早春にかけて発生するいわゆる「骨軟症」は、osteomalaciaではなくosteodystrophia fibrosa(線維性骨栄養障害症)の一つであると考えられています。


成長した動物において、骨組織の新生は骨格の成長に役立つものではないが、それは常に継続していとなまれていて、陳旧な骨組織は、たえず新生組織によって置換されています。


骨軟化症の場合にみられる変化の特徴は、骨の吸収すなわち破骨細胞による広汎な骨の破壊と、それを補填する類骨組織の過剰であって、よく石灰化された骨組織が失われて、そこにカルシウム塩の沈着不十分な類骨組織が置換する。


カルシウム不足がとくに著明で、同時に蛋白質その他の栄養素の不足および消耗が伴う時には、骨吸収と類骨組織形成の歩調はいっそう乱れるため、骨多孔症の像が合併することがあります。


これらの病的変化は機械的刺激の著しい部位、たとえば骨端の海綿組織、腱、靭帯・筋膜の骨付着部、骨の屈曲部・彎曲部に強く現れます。


病機が著しく進行すると骨皮質は薄く粗鬆になり、ナイフで切ることができ、骨折しやすい。海綿質骨梁は萎縮し、ハバース管・フォルクマン管の管腔がひろがり、髄腔は拡大する。


牛では肋骨、骨盤、四肢の長骨に、豚では脊柱に、仮骨callusおよび新鮮骨折がみられます。脊柱後彎kyphosis、脊柱前彎lordosis、寛骨臼の内方転移、腸骨の捻転、骨盤の狭小化がおこる。


肋骨と腰椎横突起が下垂して、胸郭は狭く扁平になり胸骨が突出する。関節面の圧扁、関節軟骨の退行変性、腱付着部の裂離がおこり、また豚では大腿骨頭が分離することがあります。

症状:



病状の軽重によって、臨床所見はまちまちですが、動物は不活発、無気力になり、被毛は粗で色艶を失う。四肢の関節部では脱毛して皮膚が裸出し肥厚します。


背を丸くし腹部は巻き上がり、集合肢勢をとる。歩様は強拘で歩幅は短く、運歩は次第に困難の度を増す。


血中の無機燐の含量が著しく低下する。動物は不妊になる。重症例では衰弱、虚脱、骨折を見、またしばしば骨その他の異物の採食が原因となって死亡します。

治療法:



牛では燐の持続的な欠乏(負の平衡)が原因となって発生するので、次のように燐を給与。


成長中の若牛:日量4~5g

妊娠牛:日量6gまで。

哺乳している牛:日量11~12g


これらは骨粉として舐めさせ、あるいは飲水にまぜて給与する。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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