体液の浸透圧平衡


体内の水分と塩分



動物は常に体液水分を排泄している。呼気に失われる水分は純粋であり、静止時でも20ml/kg/day程度が失われる。また発汗によって失われる水分も純粋です。(一時に多量に発汗した時の汗は間質液の組成に近づく)。


これらの排泄を不感蒸散といい、損失水分の量は動物の状態や環境条件によって著しく変動する。さらに動物体内からは尿中へも水分が失われる。


これらの排出水分の合計は健康な動物で50~130ml/kg/day程度になる。したがって動物は常に水分を飲水によって補給しているが、損失水分と吸収水分とは必ずしも同一にならない。


動物は塩分(NaCI)を尿中へ排泄しているが、1日の排泄量は体重10kgあたり数g程度になります。


動物は飼料・飲水から塩分を補給しますが、不足分と一致するわけではない。即ち、体内の水分とか塩分の量は適切であることは稀であり、常に過不足の状態にある。


しかし動物の生存には体液の浸透圧とpHを極めて狭い範囲に保つことが要求されており、このための特別の機構が備わっている。

浸透圧維持機構



血漿浸透圧は動物種によって異なりますが300mOsm前後であり、種内変動や個体内変動は平均値±4%以内に維持されている。


水分過剰のような低浸透圧傾向ではアルドステロンが重要な役割を演ずる。即ち、水分過剰状態ではADH分泌が減少して尿量が多くなるので、尿中の塩分濃度を下げないと体液が低張になってしまう。


このためにレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の分泌が盛んになり、腎のNa・K交換の促進によって尿の浸透圧を低め、体液の浸透圧を維持する。


動物(犬)は尿の浸透圧を血漿の0.3倍から8倍まで変化させることができる。


動物体内が塩分過剰のような高浸透圧傾向ではADHが主要な役割を演ずる。つまり、体内が高浸透圧状態になればレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が不活発になって塩分が速やかに排泄されるので、尿の浸透圧を上げないと体内の水分が不足してしまう。


このためにADHの分泌が盛んになって尿量を低下させて尿浸透圧を上げ、これによって体液の浸透圧の上昇を防ぐ。


腎は1日の尿量を10ml/kg以下に抑えることもできるし、体内水分のすべてを数時間で排出する速度で尿を排泄することもできる。

豚の食塩中毒と子牛の水中毒



豚の食塩中毒は飲水装置の故障や凍結による飲水不能によって発症するので水欠乏症候群とも呼ばれている。


飲水不能になってから2~4日で発症するが、潜伏期は気温と湿度に支配される。


豚が飲水不能になると呼吸による不感蒸散によって体内水分が失われて細胞外液の浸透圧が上昇する。


豚は尿の濃縮能力が低いので浸透圧上昇速度が速い。


この浸透圧上昇の影響を強く受けるのは中枢神経系で、間代性の痙攣を発症する。


予後は極めて不良です。

子牛水中毒



子牛の水中毒は放牧中の子牛が長く水を与えられなかった後に自ら水を発見して好きなだけ飲んだ時に発症する。


症状としては先ず血尿が現れ、痙攣、起立不能になって死亡する。


子牛血尿症とも呼ばれる。

スポンサーリンク
336×280