オシドリの雛は孵化後、30時間位しますと雛は巣立ちします。此の雛は驚くほど早成の雛です。したがって小鳥の雛の様に何日も何日も親鳥が餌を運ぶ必要はありません。
巣立ち直前には巣箱の中が急に騒がしくなります。まず雌親が巣箱の出入り口から外の様子を伺い、危険がない事を確かめた上で到着台に出て待っておりますと、雛は自分で巣箱の側壁をよじ登り到着台に出ます。
母鳥は下へ飛び降りて模範を示しますと、雛は次々に飛び降り三々五々池水中を泳ぎ廻ります。雛はこの時すでに防水力が羽毛にあります。母鳥は悠々とこの中を泳ぎ廻ります。
飼育者にとっても、この時の光景を見るのがオシドリを飼う醍醐味だといえると思います。雛は同時に巣立ちしますが、孵化は早朝6時頃であったり、午後4時頃であったりしますから、遅く孵ったものは24時間足らずで外へ出ることになります。
同じ水鳥であってもアヒルのような家禽化したものは水中へ入れるのは2週間目位であることを思えば、オシドリは大変早成だといえます。オシドリの雛は頭上から、背、尾の先まで凡て少し薄いこげ茶の長い綿毛で覆われていますが、銀杏羽の出る位置の両腰と翼の付け根付近に薄い黄褐色の斑があり、両翼の縁と翼の先も黄色です。
嘴は灰色ですが、その先端の爪だけは赤橙色で此の赤い色が良く目立ちます。これが認識斑と称するもので、親鳥が自分の雛を見分けるのに役立つのです。
眼は黒く眼の周囲は帯褐黄色ですが、眼から後ろへ濃いこげ茶の条が1本走っており、その下に此れと平行して今少し薄いこげ茶の条が1本走っています。喉、胸、腹は帯褐黄色ですが、腹から尻へ行くにつれ段々白色となっています。
また脇の上端にもこげ茶の条が2本走っています。足には水掻きがあり、爪があります。翼は3cm程の小さいもので空を飛ぶことは出来ませんが、其れ以外は大抵親鳥に負けない動作が出来ます。
脚が大きく地上を走る事は成鳥より上手で、危険が迫った時は高速度で走って逃げるか、或いは水中で長時間潜水して難を逃れます。また、爪で垂直面をよじ登り、金網を梯子として天井まで登り、飛び降ります。
防水力は巣立ちの時既に完備しておりますが、尾羽だけは防水力がないらしく水に濡れますが、5~6日の内には尾羽も防水力ができます。ふ化直後の雛の身体各部の長さ、色については次回に…
【孵化・巣立ち編】オシドリの飼い方
【孵化・巣立ち編】オシドリの飼い方