
水鳥の卵は雉類の卵より湿度の高い状態で温卵する必要があります。孵卵器(平面)は温度は39.4℃ですが、湿度は75%或いは其れ以上を必要とします。
第1回目の検卵は8日目に行います。検卵器が無い時は、ボール紙の内部を黒く塗って筒を作り、此の直径を卵の直径より少し小さくしておきます。
此の筒を卵の中央、あるいは鈍端よりに当てて、60ワット電球で卵を透かして見ますと、内部に多数の放射状に走る細い血管が見え、また、太い血管が卵黄の部分から殻の方へ走っているのが鮮紅色に見えますが、又、卵は鈍端を上にして持ちますが、上よりの方で黒点として見える胚が盛んに活動するのが見えます。
胚が動かなかったり、血管がもつれていたりする時は既に発育が中止した証拠です。無精卵は卵全体が透明に見えて、その後時日の経過によってあまり変化しません。
しかし、卵黄の影が卵殻に写って一部は黒く見えます。第2回目の検卵は17~18日目頃に行います。この時は前述の胚は段々大きく成長し、嘴、頭、胴などが出来ているのが良く見えます。
オシドリの卵殻は透明度が高くて良く内部が見えます。第3回の検卵は、26~27日頃で孵化直前の此の時は卵内は真黒く、何にも見えないのですが、唯、鈍端の気室が大きくなり、気室の境が時々ビクビクと波動するのが見えれば生きている証拠です。
此の波動を観察できない時は卵内の雛は既に死んでいる可能性が強いです。波動が見えれば、2~3日の内には卵殻を破って雛が誕生してきます。
オシドリ卵は人工孵化より、自家抱卵の方がより能率的に雛が孵ります。
孵化した雛は30時間孵卵器の中でそのまま置きます。それから、母鳥が抱卵した卵が既に孵り、雛が禽舎にいる時は、夜間母鳥が気付かない間に、そっと母鳥の腹の下へ他の雛と一緒に入れてやる事に成功すれば、母鳥に育てさせる事ができます。
若しこういう雌親がいない時は、夜間だけ赤外線ランプで35℃に保温した育雛箱へ入れ、昼間は外の池を持つ禽舎で遊ばしておけば良いでしょう。