栄養性筋病とは ~ 心筋、横隔膜、骨格筋の変性を共通の病変とし、かつ栄養、代謝が重要な関連を有すると考えられるもの


栄養性筋病(Nutritional Myopathy)



心筋、横隔膜、骨格筋の変性を共通の病変とし、かつ栄養、代謝が重要な関連を有すると考えられるものが、一括して栄養性筋病といわれるものに属します。


馬に発する麻痺性筋色素尿症paralytic myoglobinuria(Monday morning disease, azoturia, sacral paralysis)はこれに該当します。


本病は栄養分に富む飼料full working rationを十分に給与されている馬が、数日間の休息ののち、急激な運動を開始した直後に発現するもので、後肢が急に脱力して動けなくなり、発汗、全身のふるえtremorが現れる。


臀筋、股筋、腰筋が腫脹して、板のように硬くなり、それがまもなく解除されるとともに、尿中に多量の筋色素が排泄されて、尿は暗褐色を呈します。


重症では起立不能となり、斃死することがあります。


本症はまた、保定に抵抗して馬があばれた時にも発生することがある。


筋線維の硝子変性hyaline degenerationおよび断裂fragmentationがみられますが、炎症性反応は弱い。患筋および血中に多量の乳酸の蓄積が認められる。またネフローゼが発生する。


麻痺性筋色素尿症の軽度ないし中等度の症例は、絶対安静、飼料中の炭水化物の減量、重炭酸ソーダ(1日量150g以下)の経口投与、ビタミンB₁(1日量0.5g)の注射などによって治癒させることができます。


若い競走馬、ことに雌馬において急激な調教または輸送後に発生するtying-up syndrome(重度の”こずみ”)の際にも、また筋に麻痺性筋色素尿症と同様の症状が発現します。


この場合は腎障害が認められず、筋色素尿が軽度にとどまり、また軽運動、ボログルコン酸カルシウム・フィゾスチグミン・セレニウムが治療上有効なことなどの点で麻痺性筋色素尿症と異なる点がありますが、一方では血清中のGOT,LDH,カリウムの上昇では両者が共通しているなど、いまだその異同が明らかでない。


北欧に多い馬の多発性筋炎polymyositisも含めて、これらの疾患、その本態については、今後の研究の待つところがおおきい。


子牛と子羊の栄養性筋病といわれるものは、次のようです。


生後6ヶ月以内(1~2ヶ月にもっとも多い)の子牛が春季に放牧された時に、心拍と呼吸の異常をおこして肺炎様の症状を呈し、また四肢の脱力、跛行を生じ、急死することがあります。


心筋、横隔膜、肋間筋、前・後肢帯筋の硝子変性が著しい。


子羊では主に骨格筋が冒され、また筋の石灰沈着が生ずることが多い。


この疾患はビタミンEの欠乏によるものと考えられ、また微量のセレニウムの投与は治病効果があるといわれています。


そのほか豚、鶏にも類似の疾患があります。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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