回復期の看護と管理(nursing and management during convalescence) ~ 患畜の看護


患畜の看護



治療の終わった小動物はケージに入れて4~6週間運動を制限します。


固定包帯、Thomas副子などを装着した場合には、動作が不自由になるので広いケージに収容し、ケージの床をたえず清掃し、また副子の先端が扉の格子や床の隙間にはさまることがないように気をつけます。


大動物の場合は、広い場所で自由に行動させると、固定装置がゆるむことが多いので、4~6週間、馬(牛)房に収容します。


若干の負重あるいは房内の歩行で、四肢の血液循環障害、筋の萎縮などはあるていど防止できます。セメント床よりも土の床のほうが、皮膚の傷害が少ない。


敷料をたびたび更新して固定装置の汚れを防ぎます。長い藁は肢にからまるので、鋸屑、鉋屑、トウモロコシの砕いた穂軸などが好まれます。


吊起帯は骨片を不動化する上に直接には役立たないが、動物の動きを制限して安静を保たせ、また健肢と固定装置に加わるストレスを減少させる効果があります。


吊起帯の装着は、ギプス包帯あるいは外副子で骨折部を固定した患畜が、回復期(convalescence)の初期に、それに慣れて立っており、またいくらか四肢を動かすことを覚えるならば、非常に役立ちます。


しかし、患畜が吊起帯の装着を嫌がらず、また持続的にでなく、間欠的にときどきこれによりかかるという具合でないと、骨折の治癒に要する長い期間にわたって、終始その装着に耐えることは難しい。


馬は一般に横臥を喜ばないが、起立したままでも休養が得られます。臥たままの馬でも、麻痺がなければ、吊起帯を使って人為的に起き上がらせる操作をくり返すと、自分の足で立っていることができ、また自力で起臥できるようになることが多い。


これに対して牛は、吊起帯による保定に慣れず、吊起帯から抜け出し、あるいは吊起帯のなかで横倒しになって四肢を浮上させることが多い。


また鼓脹症を発し、乳房、乳頭、皮膚の損傷が生じやすい。


吊起帯を装着した患畜は、たえず監視し、また装着の具合を定期的に修正する必要があります。しかし残念ながら、吊起帯の使用は、それにかかわる時間とトラブルを十分補うだけの利点がないことがしばしばです。


臥たまま起立しない牛、馬の看護は、飼料や水を手で与える必要があり、便秘がおこれば糞塊をかきだし、またカテーテルで導尿するなど、根気がいる仕事です。


乳房炎と乳房の損傷の防止に必要な搾乳も、適時に行うことが難しい。


患畜はなるべく胸骨臥位(腹這い)の姿勢をとらせます。側臥位がつづく時は、1日に少なくとも4回は反転させます。このような患畜については、当初から、予後の判定と経済的価値の判断が明らかなようでなければなりません。


回復期の経過を見て、差し支えないと判断した時には、適当にコントロールした歩行運動を、なるべく早く開始します。これは、ひとつには筋自体の血液循環を促進して、筋の廃用萎縮を防ぐのに役立ちます。


また筋運動は、骨からの静脈血の流出を間欠的に制限してポンプ作用を加え、骨内部の血管網に血液を押しこんで拡張させる効果があり、骨の血液循環を促進して治癒に貢献します。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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