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乳房炎 ~ 治療(薬の基剤・組織の病変・組織の防衛反応・治療の時期・薬の残留)


薬の基剤



基剤の性状は乳房内における薬の浸透を左右します。


油性の軟膏ointmentはその点で劣り、今日では、水性または油性の懸濁液suspensionまたは乳濁液emulsionが広く採用されています。


油性懸濁液は乳管系にすみやかにひろがり、水性懸濁液は腺胞によく到達する。


後者はレンサ球菌性またはブドウ球菌性の慢性乳房炎の治療に適しています。

組織の病変



重症の急性化膿性乳房炎では、組織の破壊がおこって、24時間以内に著しい浮腫、化膿、凝固、壊死などが発生し、乳管系が閉塞して、薬の浸透が著しく妨害される。


冷水灌注による炎症の抑制、あるいは蛋白分解酵素、DMSO(dimethyl sulfoxide)などの使用は薬の浸透を助ける。


また健康な乳房では、血液-乳房関門blood-udder barrierの存在のため、全身的に投与された薬は乳房内に移行しにくい。


急性症では、この関門の活性が低下するので、全身的投薬の効果が現れますが、一方慢性型の多いレンサ球菌性、ブドウ球菌性乳房炎では、乳房内注入法が治療の主体です。

組織の防衛反応



レンサ球菌性あるいはブドウ球菌性慢性乳房炎(主に接触伝染性)に対する強力な乳房内注入療法によって、炎症が制圧され、菌が排除されたあと、乳房内の白血球が過度に減少した時に、糞、土など環境から大腸菌群、緑膿菌が侵入すると、急激な炎症が発生することがある。


また、乳房内に存在する表皮ブドウ球菌は、黄色ブドウ球菌の増殖に拮抗するといわれる。


乳房炎の際には、乳腺におけるビタミンAの合成機能が低下するため、注入薬にこれを加えて上皮組織を保護することが推奨されています。


また乳頭管内のケラチン様上皮(lactosebum。剥離した上皮細胞、遊離脂肪酸などを含む)は、感染防禦に有効なので、乳房内注入操作などによって傷つけないことが大切です。

治療の時期



重症の急性化膿性乳房炎のように組織の破壊が著しいものは、早期に治療を開始することが肝要です。


またレンサ球菌、ブドウ球菌による慢性乳房炎は、臨床徴候が現れず発見しにくいことにむしろ危険があって、排膿などの徴候が出た時には、すでに腺組織に不治の損傷が生じていることがあります。


したがって、早期の診断と治療がやはり大切です。


泌乳期の乳房では、夕方の搾乳後に薬の注入を行う。しかし泌乳中は注入した薬が稀釈されるので、事情が許せば乾乳期を待って治療するほうが効果がおおきい。

薬の残留



乳房内に注入された10万単位のペニシリンは2~4日間効果が持続する。


この例のように、注入薬が乳房内に残留する期間のミルクは、飲用した人に過敏性反応をひきおこす危険があるので、売却することが禁じられています。

ディッピング

搾乳時に刺激性のない消毒液で乳頭を消毒する

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