甲状腺ホルモン薬~甲状腺機能抑制薬~甲状腺機能不全~甲状腺機能亢進


甲状腺ホルモン薬



●甲状腺乾燥粉末


豚や牛の甲状腺から作る。


甲状腺機能不全に筋注か皮下注で用いる。

レボチロキシン(levothyroxine)



牛や豚の甲状腺から抽出するか、または合成チロキシンをラセミ分割して得るL体。


甲状腺機能不全症に経口か注射で用いる。


吸収性は良い。

ヨードカゼイン(iodinated casein)



カゼインに過量のヨウ素を加え、次亜硫酸ナトリウムで処理して製造する。


チロプロテイン(thyroprotein)とも呼ばれる。


甲状腺摘出動物に経口投与するとチロキシンと同一の効果を示す。


乳牛では出産後2ヶ月以上経過すると乳量が低下してきますが、この時期に10g/日を濃厚飼料に添加して投与すると乳量低下が防止される。


ただし、牛はかなり神経質になる。


豚では出産3日前から飼料に添加(200ppm)して投与する。


多産でも全頭哺乳が可能で新生子の発育が良い。ただし母豚は神経質になるので子豚の圧死率が高くなる。

甲状腺機能抑制薬(antithyroids)



●チオウラシル(thiouracil)


チオ尿素の誘導体は甲状腺に作用して甲状腺ホルモンの生成を抑制する。作用機序としてチオグロブリンのヨウ素化の阻害が挙げられている。


メチルチオウラシルは豚の飼料に添加すると体重増加作用があるので肉豚肥育の最終段階に用いられたことがある(finishing agent)。


しかし増量するのは主として脂肪であり、それだけ肉質評価が低下するために経済的メリットがなく、用いられなくなりました。

ヨウ素塩(iodines)



ヨウ素塩の投与によって血中のIの濃度が上昇すると甲状腺濾胞細胞からのホルモン分泌が抑制される。この作用は速効的です。


さらに濾胞細胞のI取込みや細胞内でのチロシンのヨウ素化を阻害するのでホルモン合成が抑制される。

甲状腺機能不全(hypothyroidism)



●単純性甲状腺腫(simple goiter)


犬、豚、牛、綿羊ではIの不足によって甲状腺腫の発生が可能ですが、本邦には低ヨウ素地帯が事実上ないので、この原因では発生しない。


むしろ生大豆などに含まれる甲状腺腫催起物質(goitrogens)の摂取によって発生することがあります。

クレチン症(cretinism)



新生子期・若齢期の犬の甲状腺機能不全で、I摂取不足かホルモン合成不全による。


成長遅延、中枢神経機能不全などが特色ですが、本邦では殆ど発生していない。

粘液水腫(myxedema)



壮齢、老齢期の犬に発生する甲状腺機能不全。


甲状腺の萎縮が原因です。皮下が肥厚して水腫状になりますが、頭部と脚に著明です。


寒冷への感受性が高く、やたらに寒がる。肥満や繁殖障害も認められる。また畜主は老化現象だと判断する場合が多い。


甲状腺ホルモン薬で治療するが、1日投与量が人の数十倍も必要であるから、人体用製剤では対応しきれない。

甲状腺機能亢進(hyperthyroidism)



臨床的に甲状腺機能亢進が問題になる動物は甲状腺腫の猫です。


この疾病の治療には猫に対する毒性が低いチオ尿素誘導体、チアマゾール(thiamazole, methimazole USP)が用いられる。カルビマゾール(carbimazole)はさらに毒性が低いと報告されている。


犬も甲状腺癌では機能が亢進するが、極めて稀です。

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