鉛 Lead Pb ~ 牛の症状

ビーブラスト・テキスト


鉛中毒・牛の症状


a)

12頭の牛は舐癖を治すためと称し280gの鉛白を内用させられ、そのうち最も多く摂食した3頭は発病して頑固な便秘、鼓脹症、胃腸の蠕動麻痺、流涎、戦慄、黒内障、眩暈、痙攣並びに疝痛の発作があり2~3時間で斃死しました。

この際勿論下痢は認められませんでした。


b)

2頭の牝牛は血尿のため3日間に48~52gの鉛糖を内用させられ、2頭共に7~8日の後発病し、筋の衰弱、戦慄、関節の強硬、体軀の麻痺、発作性興奮並びに狂暴を現わし、1頭は斃死しました。


c)

4頭の牝牛と1頭の牝牛は過失のため凡そ340gの鉛糖を1桶の水に溶かし飼槽に注いだものを飲み、第3日に2頭の牝牛が発病して9日と10日目に斃れ、第4日目に他の牝牛1頭発病し、第5日目に牝牛が発病第6日目に残りの牝牛がそれぞれ発病しましたが何れも回復しました。


d)

多数の輓牛が酸化鉛の油剤を塗擦され、9~7週間を経て発病し、初めは下痢があり後に便秘しました。


e)

8頭の牝牛は虱駆除のため鉛軟膏を塗抹し、更に鉛白を撒布され全部発病した。


f)

酸化鉛を内服した牛は中毒し流涎、便秘、牙関緊急、黒内障、脊髄麻痺を来し、内1頭は舌の麻痺を生じ、1頭は深い昏睡に陥り他の1頭は全身の痙攣を発した。


g)

1頭の牝牛は900gの鉛白油を食したため精神の鈍麻、便秘、疝痛、呼吸速迫、脈搏は初め充実し速かでしたが、後には触れることができなくなり、視力障害、不安、痙攣、前後肢は交々強硬を来したが、3週間で回復しました。


h)

4頭の牝牛は6ヶ月の犢と共に8日間に2250gの鉛白を舐め尽くし、内3頭は斃れたが、症状として頭を伸張し壁に向かって暴進し頸部は痙攣性彎曲を呈し、吃逆、瞳孔散大などがあり、剖見上、脳質軟化並びに脳膜水腫を認めた。


i)

10頭の牝牛は芒硝と誤り各々250gの鉛糖を内服させられ総て8日以内に斃死しました。


j)

10頭の牛は過失によつて3日間に50gの鉛糖を2回宛内用し、6頭は2~6日間に斃れ、残り4頭は継発症のため5週の後に死にました。

症状は疝痛、筋の搐搦、頭の伸張、著しい衰弱と疲労、烈しい皮膚の瘙痒、膿疱性皮疹、四肢厥冷、咳嗽、流涎、麻痺などでした。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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