韓牛(朝鮮牛)Korean Cattle

韓牛(朝鮮牛)Korean Cattle
韓牛(朝鮮牛)Korean Cattle



古くから韓国にいる在来種。役用種でしたが近年は肉用を加味せんとしています。いまだかつて外国種を導入して交雑されたことはありません。


とくに種雄牛の選抜に力を入れて改良を進めてきたものです。ただし近年、アメリカの示唆などもあって、アメリカの肉牛たとえばヘヤフォード、ショートホーンなどを交配するという考えもでてきています。


そして1部試験的に済州島で試みられましたが、まだ全般には普及していません。


韓国の農家にとって農耕運搬に欠かすことができないばかりでなく、貴重な財産であり、なお米、大豆に次ぐ重要な交易品でした。


戦前には、毎年本邦にも数万頭が輸入されていました。近年本邦の牛肉不足から、この輸入の問題がおきていますが、防疫の関係で未だ本格的には実施されていません。

韓牛の外観



毛色は赤褐色、体格は大型、中型、小型の3型に分かれ、大雑把には大型と小型との2型に分けられます。戦前の南鮮牛は小型、中部および北部の牛は中型、西鮮牛は大型でした。


また、大別すると南部の牛は小型、北部の牛は大型といえます。


戦前、本邦に輸入されたものは小型で、体高、雌約118cm、雄約128cm、体重、雌約240kg、雄約360kgでした。体型は前軀に比し後軀貧弱な牛で、前がち体型です。


また胸深に比し四肢やや長く長脚です。体幅に乏しく、体積も十分とは言えません。


後軀の側望、後望の傾斜はかなりひどい。四肢は丈夫で、ことに飛節がしっかりしており、蹄は堅牢です。

能力



体質強健で寒暑の激しい変化によく耐えます。いわゆる環境適応性が大です。役用能力に特に優れ、性質温順で使いやすいと本邦でも好評でした。


粗放な飼養管理にも耐え、稲わらやアワの稈などを良く利用します。また、疾病に対する抵抗力が強いと言われていますが、牛疫(ペスト)には侵されて大正年代に韓国で大流行しました。


濃厚飼料を多給して十分に肥育した場合の肉質は、決して悪いものではなく、和牛に劣らない。筋肉の中に脂肪交雑が細かく入る形質は、和牛同様もっていると思われます。

分布



韓国の牛は、ほとんどすべて韓牛(朝鮮牛)です。本邦では、戦前山陽沿線、関東、東北方面で役畜としてかなり分布していましたが、いまは殆どいません。


岩手県に韓牛の純粋繁殖をしていた小地域がありましたが、これもいまは絶えてしましました。しかし、韓牛が将来肉としてでなく、生牛として本邦に輸入されることも考えられます。

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キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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