背側棘突起衝突は、「キッシングスパイン」としても知られており、馬の背中に激しい痛みをもたらす疾患です。
背側棘突起(馬の脊柱から上に突き出た骨の部分)は、棘間靱帯と呼ばれる靭帯で連結されています。正常な馬の背中では、棘突起はお互いに等間隔で並んでいます。
しかし、棘突起の間隔が狭くなり近づきすぎると、棘突起同士がぶつかってしまうのです。
この状態は、馬が動いているときにのみ衝突が発生する動的なものと、静止しているときにも衝突が発生する静的なものとがあり、融合してしまうこともあります。
この衝突が馬の痛みの原因となり、その程度は軽度から重度まで様々です。背側棘突起衝突は最も頻繁に馬の胸椎に影響を与えます。胸椎とは、馬の肩から鞍の位置のすぐ後ろまでの部分を指します。
臨床徴候
キッシングスパインは、通常、馬のパフォーマンスや行動に軽度から重度の影響を与えます。行動の変化は、地上での取り扱い、騎乗中、または訓練に関連しています。
キッシングスパインの診断方法
獣医師は、あなたの馬が様々な歩幅で運動している様子を観察したいと思うでしょう。
サーモグラフィーによる画像診断も診断に役立ちます。キッシングスパインは、馬の背中を肩から腰椎までX線撮影することで確認できます。
主にT13-18からの部位で、硬化、棘間腔の狭小化、骨膜反応、時には嚢胞状病変・放射線透過領域などのX線変化が観察されます。
キッシングスパインの治療と管理
獣医師が推奨するキッシングスパインの治療法は、症状の重症度、痛みの度合い、馬の使用目的および期待度によって異なります。
痛みをあまり感じていないようで、運動能力を期待されていない馬は、抗炎症剤(フェニルブタゾン (Phenylbutazone))の経口投与で長期的に治療することができます。
痛みを和らげるためによく使われる治療法は、コルチコステロイドの局所注射、チルドレン、メソセラピーなどです。
また、疼痛や筋攣縮を和らげる有益な補助療法としては、鍼治療、カイロプラクティック矯正、衝撃波療法などがあります。
医学的管理で改善が見られず、馬のパフォーマンスレベルの期待値にもよりますが、より重症なケースでは、獣医師は手術を勧めるかもしれません。手術にはいくつかの方法がありますが、その成功率は様々です。
キッシングスパインの長期的な管理で最も重要なのは、理学療法です。
理学療法は、背部と骨盤部の特定の筋肉:多裂筋(脊椎に隣接)、腸腰筋(脊椎の下から腰)、腹壁に沿って走る内腹斜筋を強化することを目的としています。
エクササイズでは、ペソアシステム(馬体全体に働きかけるユニークな調教馬具)やベリーリフト、サイドレーン(馬の頭が上がらないようにする補助道具)を使った運動を頻繁に行うことがあります。
症状
●背中の痛み
●ハミに乗せるのが難しい。
●ウォームアップが遅い。
●一方向のこわばり。
●歩行の移行がうまくいかない。
●ブラッシング過敏症
●ジャンプやフェンスの跳び越えを拒絶する。
●断続的な後ろ足の引きずり。
●乗り手を振り落とそうとする。
●駈歩(かけあし)でのトラブル。
●後ろ脚で立つ。
●バレル(ロデオで行われる競技で馬に乗ってたるやドラム缶の周りを走る速さを競う)を通り過ぎて走る。
診断
●病歴
●臨床兆候
●身体診察
●調教、馬術訓練での評価
●神経ブロック
●X線撮影
●サーモグラフィー
治療
※理学療法
キッシングスパインを有する馬の長期的な管理において、より重要な点のひとつです。
※メソセラピー
中胚葉(皮膚の中間層)に極細の針を刺し、背中に沿って特定の薬剤を複数回、浅く注入する方法。
この過程は、感覚神経線維を刺激することで、痛みを感知する神経線維からの信号を遮断または抑制することを目的としています。
※注射
サラピンとコルチコステロイドを組み合わせた注射で患部を治療することが有効なケースもあります。
※衝撃波療法
※レーザー治療
※鍼灸治療
※カイロプラクティック矯正
※ティルドレン(Tildren)
※手術
脊髄間靭帯切除術(ISLD) :脊髄突起間の靱帯をメイヨーハサミで切断する手技。馬が立ったまま鎮静状態にある間に行うことができます。
予防
※サドルフィッターを雇って、鞍が馬に正しくフィットするようにする。
※経験の浅い騎手を馬に乗せてはいけません。

