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犬の精巣に発生する腫瘍 ~ 間質細胞腫・精上皮腫・セルトリ細胞腫



犬の精巣に発生する腫瘍は主として次の3種です。

間質細胞腫(interstitial-cell tumor, Leydig-cell tumor)



犬の睾丸腫瘍のうち、もっとも多く発生するものですが、犬の健康に支障をきたすことはほとんどなく、臨床的な意義は少ない。腫瘍は限局性で小さい結節を形成し、軟かい。


腫瘍組織内には出血、壊死、血液色素の沈着がみられる。


この腫瘍の存在する犬の前立腺には萎縮がみられないので、腫瘍細胞がアンドロジェンを分泌しているものと考えられる。

精上皮腫(seminoma, germinoma)



間細胞腫についで多くみられるもので、精細管の精上皮の腫瘍です。


腫瘍内に出血がおこると睾丸は急速に拡大し、圧痛がある。陰睾の精巣にこの腫瘍が発生した場合にも圧痛があります。


数か月の経過で徐々に腫瘍が発育するのがふつうですが、時には急速に発育することもあります。犬は跛行し、歩行が困難になります。


しゃがんだり背を強く背屈する時に痛みがある。


老犬を診察するときには、つねに精巣の大きさおよび硬さの異常の有無を検査するのがよい。


腫瘍組織には壊死と出血がみられ、組織学的にはしばしば悪性腫瘍のような像を呈するが、しかし転移がおこることは稀れです。

セルトリ細胞腫(Sertoli-cell tumor, tubular adenoma, tubular-cell carcinoma)



精巣の精細管にあるSertoli細胞(支持細胞)に起原を有する腫瘍で、しばしば著しい大きさに達し、多数の結節状の腫塊から成り立つ。


断面は緻密で、壊死巣、嚢腫、出血があり、また灰色あるいは白色の条紋が縞をなしている。この腫瘍は転移することがあります。


この腫瘍の細胞は時には大量のエストロジェンを分泌して雄犬の雌性化feminizationをひこおこすことがあります。


すなわち性欲喪失、雄犬をひきつける、陰筒の腫脹、乳腺の肥大、時には乳腺の腫瘍形成、対側精巣および陰茎の萎縮、腹部および陰嚢の皮膚の着色、脱毛(全身性、ことに腹面)がみられる。


また前立腺の扁平上皮に化生が生ずる。


腫瘍を摘出すると、これらの雌性化の徴候はかなり急速に退行する。


馬の精巣には肉腫、線維肉腫、癌腫、精上皮腫、皮様嚢腫の発生することが報告されている。