インド犎牛(Indian Zebu)

インド犎牛
インド犎牛



これは単にインド牛ともいわれ、動物分類学上、Bos taurusではなく、Bos indicus L.に属するものです。インド犎牛という名は、1つの品種名ではなくて、インドにいる犎牛全体の総称であり、このなかに多くの品種ができています。(後述)


ふつうZebuと言われているのは、前述の黄牛ではなく、このインド犎牛のことを言います。アメリカではこれをBrahmanと言っています。


インド犎牛のうちのどの品種も、ふつうの牛との間にいずれを雌にしても、雄にしても、自由に雑種繁殖ができます。またできた雑種は、雌、雄ともに繁殖能力をもっています。


インドにおいては今でも農耕用、農産物の運搬用に重要な家畜となっています。

インド犎牛の外観



外観上の大きな特色は、肩峰の著しいことです。これは前述の黄牛よりも著しい。肩峰は肉瘤で頸菱形筋(M. rhomboideus cervicales)と胸菱形筋(M. rhomboideus Thoracales)とが異常に発達したもので、性的差異を示します。


また、雄は雌より顕著です。


雄の子牛の頃、去勢するとこれは小さくなります。もう1つの大きな特色は胸垂の大きいことです。これは体表面積を増し、暑熱に対して体温の調節をするのに便利です。


また、下腹部にも腹垂がみられ、体全体の皮膚はいかにもゆるい。また耳が大きく、半ば垂れています。これらのことはすべて、体表面積を大きくすることに役立つでしょう。


一般に四肢がやや長めで長脚の感があるが、四肢の管は細く、しっかりとしています。後軀は短く、その側望、後望の傾斜は甚だしい。腿は充実していないものが多く、概して役用タイプ、ことに平地で物を牽引するに好都合なタイプです。


事実、車を引いて農産物を運搬するのに良く使われています。また、毛色、体格などは、同じインド犎牛でも品種によって異なります。

能力



体質強健で、ことに先天的に耐熱性にとみ、熱帯特有の風土病に対する抵抗性を持ち、なお外部寄生虫に対する抵抗力が強い。世界の熱帯、亜熱帯の牛で、このインド犎牛の血液が入っていないものがないといっても過言でないくらい、すべて改良にはこの血液をとっています。


インド犎牛のなかには多くの品種があり、乳用種、乳役兼用種に分けることが出来ます。それらのうち、主なものを紹介します。


シンド種(Sind)


インド、ボンベイ省のシンド地方の原産。インド犎牛のうちでは乳用種です。毛色は赤褐色のものが主ですが、黄褐色、灰白色のものもいます。


なお雄は顔から頸にかけて黒く、また、後軀は内股を除き、大体黒色です。体高は雌118cm、雄130cm、体重は雌300kg、雄390kg、1か年の乳量はふつうのもので1,500kg、乳脂率約5%です。


乳量のすぐれたものは3,000kgぐらいのものもあります。ラオス、カンボジアなどで黄牛の改良に導入されています。なお、一般的ではありませんが、このシンドの雌にホルスタインの雄を交配した一代雑種を台湾では乳用牛として利用せんとしたことがあります。


カンクレージ種(Kankrej)


インド、ボンベイ省のパランプール地方の原産。インド犎牛のうち役用種のもの。毛色は白色、灰色あるいは黒色で、雄の前軀および後軀は黒色のものが多い。また角が特に大きい。


雄の体高136cm、体重500kgぐらいで、シンドより大型です。


農耕用、けん引用、駄用、乗用などに用いられています。台湾ではかつてこれを入れて黄牛の改良に用いたことがあります。


オンゴール種(Ongole)


ネルロール(Nellore)種とも称し、インドのマドラス省の北部、オンゴール地方の原産。インド犎牛のうちでは役用が主ですが、乳役兼用種です。


毛色は白、大型で体高は雌128cm、雄143cm。


フィリピン、ラオス、カンボジア付近の黄牛の改良に用いられました。その他、乳役兼用種としてヒッサール(HissarまたはHariana)種、乳用種としてギル(Gir)種、モントゴメリー(MontogomeryあるいはSahiwal)種などが有名です。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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