水銀中毒 ~ 証明法

ビーブラスト・テキスト


水銀の検出



(1)予備試験としてラインシュ Reinsh反応を試みる。(砒素中毒の項を参照)


(2)検体(吐物の入手できない場合は尿を試料とします)をフレゼニウス・バボー法により壊機しクロールを駆逐して濾過し、濾液に硫化水素を通ずると硫化物が沈澱します。


この沈殿物を硫化アンモンで処理し、不溶残渣は更に温稀硝酸で処理します。沈澱は白色より漸次黄、橙、褐色、終りに黒色となります。


沈殿物を少量のクロール酸カリウムと温稀塩酸で溶かし、その溶液を水浴上で蒸発乾涸し数滴の塩酸性水に溶解し濾過した澄明液に就いて次の反応を検します。


(1)数滴の検体に銅片(脱脂し清潔なもの)に浸せば、その表面に灰色の霜衣が生じ、これを乾燥して摩擦すれば銀様光沢が出来る。


(2)霜衣の付着した銅片を洗滌乾燥し、小熱灼管に入れ加熱すれば、管の冷所に灰色の昇華物が付着し、ルーペで見れば水銀粒を認める。


(3)上記の硝子管をヨードの蒸気に触れしめると、昇華物の付着部が赤色ヨード汞となり赤変します。


(4)検液に稀薄なヨードカリ溶液1~2滴を加えると赤色ヨード汞を沈澱し、試薬の過剰によつて消える。


(5)検液に塩化第一錫溶液を数滴加えると、白色の沈澱または溷濁を生じ過剰の試薬を加え温めると灰色の金属水銀を析出します。


上記の試験中、硫化水銀はよく洗滌して硝酸を加えるも溶解しないことが鉛銅ならびに銀と異なります。


定量法は金属水銀、甘汞あるいは硫化汞として計算しますが、最も簡単なものは硝酸を含まぬ溶液とし数滴の塩酸を加えクロール亜鉛を多量に注加して熱すれば甘汞を沈澱する故、これを濾過乾燥して秤量するのです。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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