水銀中毒・牛
牝牛の乳房硬結治療のため60gの水銀軟膏を数回に亘って塗布し、3週間の後に痩削し被毛逆立し脱落し易くなり、脊部に鱗片様乃至鉄屑様の剥脱物を認め、被毛の脱落部に黄赤色の汁液があり、乳房、後腿の内面、飛節および肘節の屈曲面に出血斑があり、動物は回復したが泌乳量は旧に復しませんでした。
牝牛は水銀軟膏を塗擦した後種々の症状と共に衂血を来、36時間で斃死しました。
2.5才の牡牛は耳下腺の腫瘍に赤色ヨード汞5.0、芫菁軟膏75.0、巴豆油0.5の合剤を塗擦し、8日を経て特異な水銀中毒の症状を現わし、7週間の後に回復しました。
健康な牝牛に4gの昇汞を200ccの水に溶かして内用し、間もなく曖気、流涎、咳嗽および食欲減少を来しましたが、翌日回復しました。
5日の後更に昇汞8gを500ccの水に溶解して与えたところ、直ちに流涎と曖気を発し、食欲および反芻は翌日より障害を被り、糞は柔らかで呼吸困難と脈搏細数を来し、第3日に至り食欲全く消失し、排糞は悪臭と血液を帯び水様性となり大いに瘦削し第14日に斃死した。
セレサン消毒の亜麻仁粕中毒の牛の主徴は高熱、食欲減退、呼吸困難、咳嗽、血斑、流涎、流涙、発疹、脱毛などです。