ヘヤフォード(Hereford)

ヘヤフォード(Hereford)
ヘヤフォード(Hereford)



イギリスのイングランドの西方、ヘヤフォードシャー州原産の肉用牛。この牛の起源については、ヘヤフォードシャー州の西隣のウエルスの牛とも関連があるとされています。


ただしこれがイングランドに古くからいた土産牛を改良したものか、この土産牛とウエルスの牛との雑種から生じたものか、またイングランドに侵入したアングロサクソン人がもたらした牛との雑種がもとか、それとも土産牛とオランダから輸入された牛との雑種に由来するものかなどについては判然としていません。


18世紀の終わりのある育種家の記録として、当時のヘヤフォードの隆盛は、主として当時のオランダから輸入された牛によるものだというのがあります。


また現在のヘヤフォードの特色の1つである白顔(White face)は、古くからウエルスにいた牛に由来するものとされています。


結局、イングランドの土産牛の1変種を基礎とし、毛色は赤であったが、大型、白色のウエルスの牛との交配により、白が強く現れるようになり、さらに大型のオランダ牛が導入されて、体型が一層大きくなったとされています。


いずれにしても白顔と中軀の赤色は、かなり古くから固定されていたらしく、1788年の記載にそれがあります。これがイギリスで、もっとも古い品種とも考えられる理由です。


またこの原産地は、草地造成には適しますが、穀物生産には適さない土地柄であるが、そのようなところに飼う牛として、放牧に強い、体質強健な本種が育種されたのです。


この美点は、現在も本種の特色の1つです。


アメリカがイギリスからヘヤフォードを初めて輸入したのは1817年らしく、ケンタッキー州に入りました。初めは役用と考えられていましたが、後、肉用としての優秀性が認められました。


現在アメリカの肉牛の主体をなすものです。


なお、アメリカではヘヤフォードといわないで、ハァーフォードといっています。

ヘヤフォードの詳細



毛色は主として赤色ですが、その赤には濃淡があります。


顔は白で、これは遺伝的には優性白(Dominant White)です。下腹部、四肢端、下顎、前胸、尾房に白の現れる場合が多い。1部は眼の周囲に赤毛の生えているものもあります。


体格は大型で、体高、、雌約130cm、雄約137cm、体重は雌675kg以上、雄は990kgが標準です。最近のものには雄で体高128~130cmぐらいのものもおります。


これは著しい早熟早肥の種雄牛を使おうとした結果の現れです。


体高は低いが、体幅、体深にとみ、体長も長い。


ヘヤフォードの体型は典型的な肉用型を示し、顔は短く、頸太く、体深にとみ、肢が短い。体幅も十分であり、体伸(体長)も大です。


後軀のうち尻は少し傾斜があります。尻は広く、腿も厚い。


角は蠟状の黄色を呈し、角むきは額に直角に生え、前下方に彎曲しています。雌では角の先端が上方に彎曲しているものもあります。

能力



環境適応性が強く広大な放牧場に出すに適しています。早熟早肥で、粗飼料主体で去勢牛を若令肥育し、よく1日1.0kgの増体を期待しえます。


近年ことに、種雄牛の体高を低くして、熟性を増した結果、このように早く肥える牛となりました。しかし昨今は、それが幾分行き過ぎた憾みがあります。


種雄牛の体高125cmぐらいのものを用いて、種付をするようなこともありますが、そのような場合には、生まれた雄子牛を去勢して肥育すると、体重が400kgぐらいで、増体が止まってしまいます。とまらないまでも、増体ぶりが著しく悪くなります。


したがって、市場出荷の適当な生体重450kgになりません。


それを無理に450kgにすると、それはいたずらに屠体に脂肪をつけることとなり、市場価値がかえって下がります。なぜならば、現在はふつうの料理用の牛肉はあまり脂肪の多いものを好まないからです。


これは、先進国の国民が動物脂肪を過度に摂取したための障害、たとえば心臓病のようなものを警戒しているからです。そこで少し肥り具合が遅くなっても良いから、生後18か月で生体重450kgになるような去勢牛を生産するような種雄牛にもどそうとする傾向がみられます。


具体的に言えば、昔の種雄牛の体高を、もう少し大きいものに戻そうとする傾向がみられます。これをあまり大きくすると、熟性が昔のように遅く、そこらが、適度に熟性を与えて肥育牛の大きさも、適度にこなければならない加減のいるところです。


このことは、現在の純粋の肉用牛、たとえばショートホーンやアバディーン・アンガスについてもいえることで、種雄牛の大きさに関し、問題にされているところです。


ちなみに、去勢牛を肉牛にした場合の、出荷の適当な体重(大きさ)が450kgであるということは、ほとんどすべての国に共通のことであり、これは枝肉として運搬、解体など、手頃の大きさということを意味しているのでしょう。


ヘヤフォードの枝肉歩留は約65%で大です。肉質は特に良好な方ではない。


アバディーン・アンガスの方が、ヘヤフォードよりも肉質が良いという定評があります。また、肋と臀のところに、いくらか脂肪瘤ができやすい。


性成熟は早い方ではなく、初種付は20~22か月、初産分娩は生後30~32か月ぐらいが多い。妊娠期間は平均約278日です。母牛の乳量は比較的少なく、これは今後の本種の改良すべき点とされています。

分布



イギリスが原産地ですが、アメリカ、カナダに多い。アルゼンチン、ブラジル、オーストラリアにも分布し、世界の先進国の肉牛といってよい。


最近、本邦にも北海道に導入され、褐毛和種の雌に、本種の雄を交配した一代雑種が、一部、試験的に作出されていますが、もちろん肉牛としての利用をねらったものです。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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