植物毒中毒 ~ 青酸

5



青酸はシアン水素ガスHNCの水溶液ですが、化合物として存在します。


植物中には青酸生成配糖体を含み酵素あるいは胃液塩酸によって遊離の青酸を生じ、劇しい毒作用を呈するものがあります。


すなわち各種の生成配糖体は水分、咀嚼により動物体温と一致するような好条件では、草本に含有される分解酵素が働き青酸HCNを生じまたは胃酸HCIにより変化します。


例えばファセオルナチンは加水分解して青酸のほかにアセトン、グルコーゼを生じ、胃酸によって次にように分解します。

C₁₀H₇O₆N+H₂O(ファセオルナチン)= CH₃COCH₃(アセトン)+ HCN(青酸)+ C₆H₂O₅(グルコーゼ)

CNK(チアンカリ)+ HCI(塩酸)= CNH(青酸)+ KCI(塩化カリ)



青酸は他面に酵素の作用を妨げることがあり、動植物の総てに毒性を有し併せて醱酵を妨げ腐敗を防ぐものです。


純粋の青酸は水を含まぬときは無色の液体で、遊離して天然に存在しません。


青酸の致死量(体重1kg当たりmg)


◎動物

マウス

◎静脈内注射

0.0025(1g当り)

◎皮下注射

0.003~0.005(1g当り)

◎経口


◎動物

モルモット

◎静脈内注射

◎皮下注射

0.0067~0.0081(1g当り)

◎経口


◎動物

ラット

◎静脈内注射

2.5

◎皮下注射

10~15

◎経口


◎動物

家兎

◎静脈内注射

0.3~0.4

◎皮下注射

1.1~3

◎経口

2~4


◎動物

◎静脈内注射

1~2

◎皮下注射

1.1~2.16

◎経口


◎動物

◎静脈内注射

0.54

◎皮下注射

1.1~1.7

◎経口

4


◎動物

◎静脈内注射

◎皮下注射

◎経口

6.28


◎動物

◎静脈内注射

◎皮下注射

約3

◎経口




ふつう青酸加里あるいは黄色血滷塩に稀硫酸を加え蒸留して製します。


青酸加里は犬に対し0.25~0.5g、馬に対し5~10g、純青酸で馬は3.0~3.6gの気管内注入は3分で、また4.8gの静脈内注射は3分で斃れる。


また、最小致死量は純青酸で0.6~1.2gです。


青酸中毒時の呼吸ならびに胃内容物には苦扁桃臭があり、また血液は鮮紅色で凝固し難く、屍体は時間を経過しても新鮮に見えることが特徴で、判定上注意を要する事項です。

植物中の主な青酸生成配糖体は次のようです

(1)アオイマメ ファセオルナチン Phaseolunatin C₁₀H₁₇NO₆

(2)モモ、セイヨウミザクラ、スモモ、ウメ、ウワミズザクラ、ビワ、アンズ アミグダリン Amygdalin C₂₀H₂₇NO₁₁

(3)アマリナマリン Linamarin

(4)モロコシ Sorghumn属、デューリンDhurrin、スーダングラス、蘆粟

(5)クローバー Trifolium属、LinamarinおよびLotoaustralin

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
スポンサーリンク
336×280
スポンサーリンク
336×280