植物毒中毒 ~ 配糖体

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酒糖体Glycosideとは稀酸、アルカリあるいは酵素によって加水分解される場合、一方では生成物に糖類やこれに関係のある炭水化物を生じ、一方に非糖体を生成するもので糖としてはブドウ糖がおおいため、Glycosideの名を得たものです。


しかし単にGlycoseだけでなくMannose、Galactose、Rhamnose、Fructoseなども生成され、夫々Mannoside、Galacside、Rhamnoside、Frucsideと呼ばれます。


非糖体は相互に関係がないからこの種類にしたがって配糖体を分類します。

(1)Phenol 配糖体 例. Arbutin(イチヤクソウ)、Salicin(ハクヨウ)、Populin(ハクヨウ)

(2)Indoxyl 配糖体 例. Indican(藍)

(3)Anthrachinon 配糖体 例. Emodin(クセサンナ)、Aloin(ロカイ)、Chrysophan酸(ダイオー)

(4)Nitril 配糖体 例. Amygdalin(モモ)、Dhurrin(蜀黍)、Linamarin(アマ)

(5)Senföl 配糖体 例. Sinigrin(カラシナ)、Sinalbin(カラシ)

(6)樹脂配糖体 例. Jalapin(ヤラッパ根)、Convolvulin(アサガオ)

(7)Cumarin 配糖体 例. Scopolin(ハシリドコロ根)、Äsculin(ゲルセミウム根)

(8)Chalkon 配糖体 例. Phloridin Naringin

(9)Flavon 配糖体 例. Chrysin、Apigenin(イリオモテニシキソウ)

(10)Flavonol 配糖体 例. Kömpferol(クロウメモドキ)、Quercetin(エンジュ)

(11)Sterin 配糖体 例. Digitoxin(ジギタリス)、Strophanthin(ストロファンツ子)、Cymarin

(12)Saponin


配糖体の分布



配糖体は植物の葉、茎、皮、花、種子などすべてに存在しますが、含有量には著しい差があります。


配糖体の生理的意義は詳かではありませんが、一般に栄養素である糖の貯蔵に重要な関係があると謂われています。

配糖体の性質



(1)配糖体の多くは炭素、水素、酸素より成りますが、窒素または硫黄を有するものがあります。


例えば前者にアミグダリンおよびソラニン(ソラニンは弱塩基性またはサポニンの性もある)、後者にはシニグリン、シナルビンがあります。


(2)多数は構造式が不明で性状も一定しませんが一般に苦味を有し水に易溶のものと難溶のものがあり、アルコール殊にメチルアルコールには概してよく溶ける。


(3)何れも糖の反応を有し稀酸、アルカリ、酵素(例えば苦扁桃中のアミグダリンに対する分解酵素エムルシンEmulsin、芥子のシニグリンに対するミロシンMyrosinのように)によって分解され糖と非糖体を生成します。


(4)タンニン酸その他のアルカロイド沈降剤によって沈澱しない。

配糖体の生理作用



配糖体の多くは概して無毒性ですが、その中には強心、利尿、瀉下的の生理作用を有するものがあって甚だしい場合は麻痺性毒作用を逞する。


特にジギタリス配糖体は心臓毒として、アントラヒノン配糖体は瀉下毒として有名です。


しかし配糖体の作用は一般に加水分解して非糖体となれば母体に比し著しく減弱します。


たとえばジギトキシンが分解してジギトキシゲニンDigitoxigeninとなれば、心臓に対する作用は1/20となりプルプリンPrupurinが1-2-4-Tri-oxyanth-rachinonとなれば瀉下作用は約1/20に、またキサントプルプリンXanthopurpurinが1-3-Dioxyanth-rachinonとなれば1/6に減弱します。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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