雉類や水鳥の孵し方・孵化のさせ方

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雉類や水鳥の孵し方・孵化のさせ方
雉類や水鳥の孵し方・孵化のさせ方

自分が産んだ卵は自分で孵す事が自然で最良の方法だと考える人がいるかも知れませんが、前にもふれた様に雌は抱卵以後卵を産まなくなりますし、且つ自家抱卵で雛が孵った時に雨続きで大地が湿っている場合、雛は冷えて死ぬ事があり、又、大切な親雌も疲れて死なせる事が起こりますので、人工孵化法の進んだ今日では自家抱卵法を採用する人は少なく、また不利益です。


産卵と同時に卵を取り去り、人工孵化法で孵化しますと雌親は補充産卵という習性から引き続いてどんどん産卵を続けます。孵った雛も他の親鳥などに踏み殺される心配もなく、栄養食で人間が育てる方が雛もより強くより健康に育ちます。


人工孵化法に仮母を使う方法と、電気孵化法とがあります。電気孵卵器は小型(30~300個用)で優秀なものも発売されておりますから、今は大概は此れを使用し、なお若干の場合仮母を使用します。


また水鳥卵の孵化には仮母の方が好結果が得られる場合もあります。


仮母を使う孵化と育雛法は養鶏指導書に書かれていますが、仮母として矮鶏やバンタムが一番就巣性が強く好都合ですが、孔雀とか雁類のような大きい卵には、七面鳥、名古屋コーチン、烏骨鶏、プリマスロック等を使います。


目的とする雉・水鳥が産卵する頃にちょうどこれ等の仮母が1クールの産卵を終わって就巣中でなければならないわけです。若し自分の飼育中の仮母が就巣中でなければ、他人から仮母を借りて来れば良いのです。


静かで薄暗い部屋に仮母を置くのですが、土中から自然に湿気が来るように下は土を浅い皿状に凹みをつけて藁を敷いて産座とします。リンゴ箱の底を抜いたものの中で抱卵させるのがおすすめです。


既に他卵とか、偽卵を仮母に抱かせてあるのですから、夕暗みの頃とか、餌を食べる為に仮母が外へ出た時に此の偽卵と目的の孵化しようとする雉・水鳥卵と置き換えておけば良いのです。


仮母の中には卵を割ったりする不良なものもあり、就巣性の強い、抱卵の上手な仮母を選択し、且つ体内外の寄生虫を除き清潔にします。寄生虫が居ると仮母は落ち着いて卵を抱きません。


また、沢山の仮母が並んで就巣の場合は、互いに他が見えないように板で仕切ります。また夏は蚊よけのネットやベープリキッドで対策します。蚊で良く侵されるのは眼の縁ですが、此れは致命傷にすらなる事がありますし、感染症にも罹ります。必ず蚊に刺されないように対策しましょう。


矮鶏は育雛をさせなければ、数か月にわたって抱卵を続けてくれますから生きた孵卵器だとも言われる程です。仮母は1日に1~2回、餌と水を摂る為に巣を離れて外出し、また砂浴びと脱糞をします。


抱卵中の餌は、粒状餌が食べやすいでしょう。蚊よけのネットを被せてある場合は、人間がこれを取り除いて外に出してやる必要があります。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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