大動物
競走馬および乗馬の橈側手根骨、中間手根骨または第Ⅲ手根骨の頭側には、裂離骨折がおこって、小骨片が生ずることがあります。
手関節の伸展過度によるとされ、凹膝の肢勢の馬におこりやすい。他の手根骨では稀れです。
局所の増温、疼痛、硬い腫脹、跛行の持続などの症状は手関節炎に似るので、綿密な触診とX線検査によって判定します。
X線検査には、前後方向および内外側方向のほか、斜め内外側方向および関節を屈曲させて内外側方向にとった写真が必要です。
対側肢の手根骨についてもX線検査の必要があります。
治療法としては、骨片の大きさによって、摘出かまたは骨ネジによる固定を選びます。保存的治療法が成功することは稀れで、治癒までに長期間を要し、かつ骨膜性の反応をひきおこす。
骨折の個所によって、前腕手根関節、手根中央関節、手根間関節のいずれの切開を選ぶかを、あらかじめ決めておかなければならない。
手術は2週間以内に行う必要があります。
小動物
犬の手根骨の骨折は稀れです。非開放性に整復し、接合副子で固定します。
競走犬では、時に副手根骨の骨折がおこります。
骨ネジまたはネジ山を切ったKirschnerワイヤーで骨片を固定し、接合副子を装着します。
猫でも手根骨の骨折は少ないが、ふつうは副子による固定で治癒が得られます。