葉酸(代謝)拮抗薬(folic acid antagonists)~ サルファ剤・葉酸拮抗薬配合剤は有効性が高く、またサルファ剤や他の抗菌性薬物に耐性の菌に対しても有効なことが多い



葉酸代謝拮抗薬とか葉酸拮抗薬と呼ばれる薬物の多くは、2,4-ジアミノピリミジンの誘導体で、いずれも二水素葉酸から四水素葉酸への還元酵素を阻害する。


この酵素系が阻害されるとヌクレオチドが合成されず、細胞分裂が不可能になる。この酵素系は微生物や原虫でも高等動物(高等動物には約10万倍の用量で細菌類と同じくらい阻害される。微生物は微量で阻害される)でも共通ですが、一部の葉酸拮抗薬は高等動物の酵素に阻害作用を示すので制癌剤として用いられています。


また一部の拮抗薬は原虫の酵素系だけに阻害作用を示す。細菌や原虫に有効な葉酸拮抗薬は単独でもそれらの生物の細胞分裂を抑制します。


例えばピリメタミンはヒトのマラリアの予防治療薬として有効であり、単独で用いられています。しかし、多くの細菌・原虫に対して、葉酸拮抗薬の単独使用は耐性菌を生じ易い。


サルファ剤と葉酸拮抗薬との配合剤の抗菌作用は極めて強く、各々の耐性株に対しても強力に作用します。したがってサルファ剤を治療に用いる場合には配合剤(強化サルファ剤)として用いられることが多い。


動物用に用いられる原虫・細菌感染症治療用配合剤としてはトリメトプリムと各種サルファ剤との配合剤が市販されています。

配合比



葉酸拮抗薬とサルファ剤の配合剤は対象になる病原菌に対する各々のMICの比率で配合した時に最大の相乗作用が認められる。


配合剤の配合比を求めるには①先ず対象とする病原菌に対する両方の薬物のMICを求めてMIC比を出し、②対象動物における両方の薬物の体内動態を調べて、配合剤として投与した時に感染部位における両方の薬物の濃度がなるべく長くMIC比になるように配合比を定めます。


スルファメトキサゾールとトリメトプリムの配合剤は人体用の尿路感染症治療薬であり、経口投与後の尿中濃度がなるべく長く1:20になるように配合比が決められています。


家畜に用いられる配合剤も対象動物、対象微生物、感染部位によって配合比が異なっている

臨床応用



サルファ剤・葉酸拮抗薬配合剤は有効性が高く、またサルファ剤や他の抗菌性薬物に耐性の菌に対しても有効なことが多い。したがって利用価値は高く、原虫や細菌の感染症に対する防除薬・治療薬として汎用されています。


動物用医薬品の現在の傾向ではサルファ剤単独の使用は次第に減少し、この種の配合剤の使用が増加しています。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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