沸素 Fluor F ~ 原因


原因



沸化物のうち、沸化ナトリウムが最も殺虫力が強く、蟻の駆除剤畜舎の殺虫剤として用いられたのですが、最近に至り豚の蛔虫駆除薬として登場し、かなり好評を博している。


その薬用量は仔豚に対し体重1kg当り0.08、成豚に対しては0.05gを1回量とし、練餌に混ぜて2日間(4~6回)毎給飼時に摂取させます。


水に溶かしたものを空腹時に与えることや、極端に衰弱したものにはよくないという。而して、これの薬用量を誤ったものは当然中毒を起します。


また農業薬剤として食用および飼料作物に適用した場合は、残留する薬剤を充分除去しないと危険です。


飲料水中に微量の沸化物を含有するときは、人畜の歯の琺瑯質が腐蝕されることが判明して以来、米国では食料作物に残留する沸化物の極量を限定しています。


同様な問題は本邦の火山地方に見られ、所謂火山灰中毒による斑状歯として知られ、阿蘇火山地方には牛馬のヨナ歯と称されている地方病や、秋田小坂地方の煙害病として馬のヨロケ病あるいは茨城日立地帯にも同様の地方病があり、原因は不明ですが、このうちには沸素を考慮すべきものもあります。


これは沸素ガス直接の問題よりも、寧ろ飲水中に含有される沸化物の方が重要で家畜では0.5ppm以上が有害のようです。


火山地帯の家畜に見られる沸素の供給路は凡そ次のように考えられます。


(1)飲水によるもの、(2)沸素を多量に含む土壌に生育する飼料には同様に多量を含む、(3)螢石、水晶石などを処理している工場付近および火山灰の噴出のため沸素に汚染された飼料を採る場合で、沸素には蓄積作用があるので、大量摂取のときはもちろん少量でも長期間に亘ると障害を受けます。


またインドのハイデラバット地帯でも甚しいフルオロージスが人、動物(牛、鶏)に多く、同地方に移入された牛は痩削に、骨骼も変化し、歩行強拘となり、鶏でも10ヶ月位で脚関節に強直が起り、歩行が強拘となります。


この地帯の井戸水は9.2~11.8ppmの沸素を含み、また泥土は1500ppmに達するといわれます。


一般に沸素の過剰によつて起きる変状をフルオロージスFluorosisと呼んでいます。但しフルオロ酢酸系の中毒はFl₂に因るものではありません。


多くの実験によれば、家畜の沸素摂取限界は下記の通りです。


●研究者
Elmslie 1936

●家畜
乳牛

●沸素源
燐灰石

●沸素摂取限界 mg/kg
1.5~2.0


●研究者
Peirce 1938

●家畜

●沸素源
燐灰石

●沸素摂取限界 mg/kg
1.2~2.0~3.0


●研究者
Phillips ら 1934

●家畜
乳牛

●沸素源
燐灰石

●沸素摂取限界 mg/kg
2.0~3.0


●研究者
Schmidt ら 1954

●家畜
乳牛

●沸素源
沸化ナトリウム

●沸素摂取限界 mg/kg
1.0~2.0


●研究者
Newell ら 1958

●家畜
乳牛

●沸素源
沸化ナトリウム

●沸素摂取限界 mg/kg
1.0~2.0


香川県三豊郡豊中町における沸素地帯と非沸素地帯における飼料中の沸素量を示すと次の通りです。また井水では0.1~6.0ppmに達したという。

飼料中の沸素(ppm)


沸素地帯

稲わら:7.0:非沸素地帯:2.0

裸麦:11.0:非沸素地帯:18.0

裸精麦:9.0:非沸素地帯:12.0

玄米:12.0:非沸素地帯:8.0

白米:8.8:非沸素地帯:7.0

米ぬか:16.0:非沸素地帯:15.0

大根:2.15:非沸素地帯:1.86


非沸素地帯

裸麦ヌカ:29.0

大麦ヌカ:8.0

フスマ:16.0

小麦:12.0

大豆カス:13.0

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キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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