白血球毒
白血球の変形は単核~多核細胞などのほか、生体の防禦作用により、あるいは骨髄や淋巴組織の障害によって起きます。
白血球のうちでも中性多核細胞を侵す白血球減数で、甚だしい正常の25%も減り、また中性多核細胞の50%も減ります。
これに反し好エオジン性多核細胞、顆粒単核細胞、骨髄細胞などは増加します。
これは骨髄が放射能の刺激に敏感であり、淋巴組織はその破壊作用に敏感だからです。
これらの慢性中毒では骨髄細胞および脾臓の髄質が破壊されるため中性多核細胞の減少、または顆粒白血球減少症(Aglanula-citose)を来し、そのために白血球の形状に変化が起きます。
血漿毒
血漿の主な作用の1つは酸・塩素平衡で、アシドーシスまたはアルカローシス症に対し一種の防禦の働きをします。
ガスの吸入によって起きるアシドーシスは炭酸、塩素、臭素、ホスゲン中毒時にみられます。
また重金属毒たとえば水銀などの中和に役立つが、他方では水銀化合物は血漿蛋白に接触して水銀蛋白化合物に変じ、しかも大部分は還元性の強く毒性の複合物となり血液中に留まるし、ビスマスも同様に有機化合物となって血漿中に循環するのです。
肝臓は各種の有機質を豊有し顕著な解毒作用を営み腎臓も科学的集成に関与し、樟脳をカンフォグリクロン酸(Camphoglykuronacid)に変じ石炭酸を硫酸化石炭酸カリウムに変じます。
また若干の毒物は動物体内に入って同化作用を受けることがあります。
例えば骨における燐酸、石灰のように種々の金属が組織に沈着することも算入すべきものです。
毒物の排泄
毒物の主要な排泄口は腎臓および肝臓で特に腎臓は可溶性の毒物を極めて速やかに排泄します。したがってこの際毒物のために侵害されることも大きく、例えばテルペン油、サルチル酸、コルシウムなど‥
その他、燐あるいは砒素中毒の際は肝細胞が侵され、揮発性物質、クロロホルム、酒精、炭酸ガスなどは主として肺より排泄されます。
また、緒腺も毒物の排泄に参与し胃腸の腺質から燐、砒素、水銀および硝石などを分泌しますが、時にはその侵蝕を蒙り腺質性胃腸炎を発することがあります。
皮膚の皮脂腺および汗腺も関係があり従って水銀、ブロム、ヨード中毒では発疹します。
唾腺は多くの中毒で流涎を来し、気道粘膜の粘液腺は水銀あるいはヨード中毒の際、炎症を生じます。涙腺や乳腺も関連があり特に乳汁分泌の旺盛な乳牛、山羊等では毒物に対する抵抗力が大です。
これは乳腺よりの排泄が速やかなためです。
しかし毒物の排泄に際し乳腺細胞は侵飾されついに廃頺を来すことがあります。