家畜中毒の原因 ~ 有毒動物の咬刺による中毒・色素毒による中毒・毒物混入の飼料、飲水による中毒・肥料による中毒・飼料に用いるものによる中毒・人工的中毒


有毒動物の咬刺による中毒



これは比較的少く毒蛇をはじめ蜂、毛虫などがあり特に本邦ではクヌギケムシによる放牧馬の中毒があります。


狂犬病は濾過性病毒による伝染病ですが咬傷による一種の中毒です。


この他稀に芫菁や蜂類による家畜の中毒があります。

色素毒による中毒



鉛白、鉛丹、密陀僧のごとき色素によって主に牛の中毒を招きます。


これは有毒色素を塗った畜舎の壁を舐めるためで、毒物としては鉛、砒素化合物が多く、次いで銅、アンチモニー、カドミウム、モリブデン、水銀、亜鉛、錫などもこれに入ります。


ただし、本邦では中毒の記載がほとんどありません。

毒物混入の飼料、飲水による中毒



正常飼料中に毒物の混入する機会は種々ありますが、貨車輸送に際し砒酸剤、鉛剤などの薬剤と一緒に配合飼料などを積込みその混入によって起きる場合、あるいはそのような貨車内から掃き集められた飼料によって中毒を起した例があります。


また農作物の打禾、精選および篩箕などのいわゆる篩粕の中に偶々有毒物質が混入して害をうけます。


ドクムギ、ナデシコ、麦角、稲麹病菌、ムギ類のナマグサ黒穂病菌、黒穂病菌、赤黴病菌竝に北海道の馬に多発する菜豆稈中毒などです。


その他庭園の剪定屑、除草などに混入する有毒植物たとえばイチイ、チンチョウゲ、シャクナゲ、ツツジ類、キョウチクトウなどですが、量的にみれば左程ではありません。


飲水中に含まれる毒物として本邦にみられるものは関西、四国、九州一帯に分布する牛馬および人の弗素中毒で特に阿蘇山、桜島、松山付近におおい。


阿蘇付近でヨナ病といわれる地方病は近年に至って飲水中に含有する弗素であろうと考えられます。

肥料による中毒



家畜が肥料を直接舐めることは少ないですが、食塩と間違えて与え(硝石、硫酸アンモニウム)あるいは施肥後の余ったものをバケツなどに入れ、それに米のとぎ汁やお湯を注いで牛に与えたり、あるいは田畑に撒布した肥料(石灰窒素)のかかった畦畔の芋を給与して急性中毒を起すことがあります。

飼料に用いるものによる中毒



尿素、食塩などの過給により反芻獣に多発するもので、元来飼料として給与するものだけに被害家畜は重篤な症状を呈し、且つ原因の発見に迷うものです。

人工的中毒



家畜は悪性伝染病や公衆に危険のある場合、屢々人工的中毒死を受けます。


すなわち、犬、猫、馬などに多く、毒物としては青酸、ストリキニーネ、クロロホルムが使用されます。


犬猫に対して青酸を用いる場合10%溶液数ccを皮下に注射し猫はその数滴を結膜または口腔粘膜に滴下します。


また青酸加里は1~2gを水に溶解して胃内に注入しますが、死に至るまでの時間が長く胃内注入は容易ではないからクロロホルム数ccを直接心臓中に注射することがよい。


ストリキニーネは苦悶を伴い痙攣が甚しく、畜主に犬猫の苦痛を感じさせるので用いない方が人道的でしょう。


馬、牛は青酸が迅速確実で青酸質量1gを溶液として皮下、静脈注射をします。また時によるとストリキニーネ0.5gを皮下または静脈中に注入します。


馬は特に本剤に対して感受性が強い。


象も亦青酸によって毒殺されますが馬の100~200倍すなわち100~200gを焼酎若しくは糖水酒に混ぜて与える。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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