EPNの性状
アメリカのDupont社で1947年合成され、1950年から販売されました。
有効成分はp-Nitrophenylbenzene thionophosphonateで、パラチオン類似化合物ですが、構造式に見る通りベンゼン核が直接Pに結合している。

有機燐製剤 ~ EPN
科学的性質はパラチオンに類し比較的安定です。
純品は白色の結晶で融点36℃、水には僅かに溶けます。
中性、酸性では安定ですが、アルカリでは加水分解されてパラニトロフェノールを生じ効力を失う。
(a)EPN水和剤
有効成分25%、他に増量剤75%を含みます。
灰白色の粉末で、水によく混和して懸濁液となります。
使用濃度は水1斗に9~12gの割合で溶かして撒布します。
(b)EPN粉剤
白色の粉末で有効成分1.5%を含みます。
ふつう反当り3~5kg撒布します。
(c)EPN乳剤
有効成分45%を含み1000~2000倍溶液を用いる。
殺虫力と毒性
本剤は接触作用が主で消化中毒でもあります。
科学的に安定なので残効性があり、撒布後2~3週間有効です。しかし、殺虫力や植物への浸透力はパラチオンよりやや劣ります。
人畜に対する毒性はメチル・パラチオン程度で、TEPPやパラチオン剤に比べると弱いが、一般作物に対しては収穫期前30日以内と開花期には撒布を避けるべきです。