好酸球増多性筋炎(eosinophilic myositis)
特にシェパード種の犬の頭部に多発します。
症状:
発症は急激、発作性で、すべての咀嚼筋群の腫脹と疼痛が特徴です。発症すると犬は不安となり、体温も若干上昇する。
腫脹部は指圧によって疼痛を訴え、特に翼突筋の腫脹は顕著で、眼瞼に緊張が加わり、眼瞼の閉鎖が不十分となって、眼球突出の状況を呈し、眼球の損傷をきたしやすくなります。
また筋痛から開口を嫌がり、採食も不能となります。
発作は数日から数週で、いったんおさまる。この発作を何回も反復すると筋群の萎縮をきたし、頬骨の突出が明らかとなる。発作中は流血中の好酸球(エオジン好性細胞)の増多が著明です。
犬のほか、牛、豚、羊にも本病名がありますが、やや異質のもののようです。
牛ではほとんど臨床症状を示さず、屠場で筋束間にエオジン細胞の集塊の結節、膿瘍が検出されて肉が廃棄される結果、経済上の問題となるとされています。
治療法:
抗ヒスタミン剤、抗生物質、コルチコステロイドなどが投与されますが、いずれも再発を防止することはできない。
またACTHの大量使用、輸血を行うことがあります。
看護を良くし、採食を介助することが大切です。
結合織炎あるいは筋肉リウマチ(fibrositis or muscular rheumatism)
一般に筋肉リウマチは関節外のリウマチをいうとされ、そのほか結合織炎fibrositis、筋筋膜炎myofascitis、筋痛症myalgiaなどの類似語が多く、臨床上の分類ならびに定義がはなはだ曖昧で、その本態も明らかとはいえない。
家畜でもその用法は厳密ではない。
本症は筋膜付近の線維組織の炎症をきたすもので、通常、寒冷、湿潤、過激な運動の後に発し、任意の筋の特異な知覚過敏と疼痛、またはしびれと知覚異常をみる。
時にはその原因が全然不明なことも少なくない。
一般に、休養、マッサージ、保温、転地などで症状の軽快することが多い。長距離を歩いた体重の重い牛、激動後の馬、犬などの発生例が知られています。
その他の筋炎
牛において、局所性、外傷性あるいは全身性-血行性に連鎖球菌、ブドウ球菌またはコリネバクテリウムの感染によって、局所に膿瘍をつくり、化膿性間質性筋炎purulent interstitial myositisとなることがあり、またクロストリジウム属の感染で、気腫疽などの場合に壊疽性筋炎を発したといわれる。
馬の半腱様筋・半膜様筋の炎症の治癒過程に、また猫、豚の腹部の損傷局所に、限局性化骨性筋炎myositis ossificans circumscriptaのおこることが知られています。