催吐薬(emetics) ~ 制吐薬(antiemetics)


アポモルヒネ(apomorphine)



モルヒネを塩酸に溶解して密閉管に入れ、110℃に熱すると水1分子が失われてアポモルヒネになる。麻薬には指定されていない。


CTZを刺激して嘔吐を起こす。犬が特に感受性が高く、1㎍/kgの静注で3分以内に嘔吐が起る。大量投与では中枢興奮とそれに続く抑制が起る。


猫は嘔吐感受性が低く、中枢作用が強く現れる量でないと嘔吐しない。


アポモルヒネには特異的なドパミン受容体作動作用がある。

硫酸銅(copper sulfate)



犬に50~260mg/headを経口投与すると10~30分の潜伏期で嘔吐がみられる。


迷走神経と交感神経を切除した犬ではこの用量での嘔吐が起らないので胃・十二指腸粘膜の刺激による嘔吐だと考えられている。さらに大量の投与では吸収された銅イオンがCTZを刺激して嘔吐させる。

催吐薬の応用

催吐薬が医療に用いられる事は殆どない。中毒の時の胃内容物除去に用いるのは危険です。


制吐薬と嘔吐の予防治療



薬物投与などによって1~2回だけ嘔吐することは多いが、嘔吐に対する治療は不要です。疾病とか薬物中毒によって嘔吐が頻発する症状は極めて危険であり、緊急治療が必要です。

輸液

嘔吐によって体液からHCIが失われ、さらに反復嘔吐によってNa⁺やK⁺も失われる。代謝性アルカローシスになるので輸液によって補正する。一般には経口補液が不可能です。

従って、先ずNaCl0.55%、KCl0.15%を含む液を静注して血中のClイオンを正常値に戻してから、NH₄Clを含む液によってアルカローシスを治療する。


制吐薬(antiemetics)


フェノチアジン系精神安定薬

クロルプロマジン系の薬物の制吐作用は強いが、特にペルフェナジンが強力です。

メトクロプラミド(metoclopramide)

この薬物は制吐作用と胃腸管運動促進作用を持っているが、後者は一過性であるから有用性が低い。

制吐薬としては予防薬としても治療薬としても用いることができる。この薬物はドパミン拮抗性であるが精神安定作用を持たない。


動揺病の予防治療薬(鎮暈薬)


動揺病(motion sickness)

動揺病とは動物に加速度が連続して加わった時に起る症状で、嘔吐・目まい・歩様のふらつきが主な兆候です。

犬猫は車に乗せることが多く、乗り物酔いを起こす。

抗ヒスタミン薬と上述の制吐薬がこの症状に対して予防治療効果を示すが、一般には副作用の少ない抗ヒスタミン薬を用いる。

抗ヒスタミン薬ではヒトの動揺病に有効性の低いプロメタジンやジフェンヒドラミンが犬に対する有効性が高い。

ヒトに有効性の高いサイクリジンやメクリジンは犬に有効性が低い。

またヒトに有効性の高いスコポラミンは犬に有効性が低く、ヒトに無効のフェノバルビタールの小用量は犬に有効です。

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