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難産(Dystocia) ~ 原因


難産について



母畜が人の助力なしに分娩が困難または不可能になった状態を難産と言います。


しかし、難産と正常分娩(安産eutocia)との間に明瞭な限界をつけることの難しい場合も少なくありません。


大動物では1~3%の発生があるといわれ、犬では小型短頭種に難産が多いですが、猫には一般に少ないといわれています。


難産の原因は、母体側の原因と胎児側の原因とに二大別されます。

母体側の原因:



母体側の原因は、産道の狭窄を生じあるいは胎児が正常に産道内にはいることを妨げる諸要因が考えられます。


すなわち、母畜が小型で発育不良のため骨盤の小さな未経産牛、先天的に子宮、腟の奇形、異常のあること、前回の分娩時の損傷の瘢痕収縮をきたした子宮、腟、陰門、骨盤内の腫瘍および脂肪沈着、子宮の感染により頸管の拡張不全、運動不十分な妊畜の陣痛微弱および子宮捻転などが挙げられます。


通常陣痛微弱は犬で一番多くみとめられ、時に牛や豚にあり、ごく稀れに馬と羊にみられます。継発的なものとして、難産に継発した子宮筋の疲労によるもの、外傷性のヘルニア、筋断裂などによるものがあります。

胎児側の原因:



胎児側の原因としては、一般に胎児の異常な胎位、胎向および胎勢にもとづくものです。


単胎動物の尾位縦位、横腹位、横背位、側胎向、下胎向、頭頸部の下方、側方または上方への屈曲、水腫胎、腹水症、腫瘍、さまざまな空洞器官の拡張、長期在胎の巨大胎児、胎児ミイラ変性、全身関節強直、重複奇形、その他の胎児の奇形、異常などがあります。


多胎動物では一腹の胎子数が少ない時は胎児の巨大化をきたし、しばしば難産の原因となります。家畜別にみると、馬の場合は異常な胎位、胎向、胎勢によるものがもっとも多いといわれます。


牛では胎児の大きさと骨盤直径との不均衡がよくみられ、特に未経産牛の場合に問題となります。羊と山羊では異常胎勢と双胎性難産が多いといわれる。


豚は陣痛微弱症の発生がかなり多いとされ、犬では胎児の大きさと骨盤直径の間の不均衡が愛玩犬種と軟骨形成不全の犬種によくみられます。


またこの場合、胎児の大きな頭部が難産の主原因です。胎子数の少ない時は過大胎児が生じやすい。


猫では、頭頸部の異常胎勢と臀位の場合に難産を生じやすい。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)