扁桃の疾患 ~ 扁桃炎・扁桃摘出術・喉嚢の疾患・喉嚢カタルおよび喉嚢蓄膿症


扁桃炎(tonsillitis)



扁桃は咽頭・喉頭部に存在する一群のリンパ装置で、その機能は十分明らかではありませんが、身体の防衛機構の一部に関係があると考えられています。


原発疾患のため、摘出しても特に顕著な影響は認められない。犬では、仰臥保定で開口し、舌を引出して下方に圧迫するとピンク色の口蓋扁桃がみられ、炎症があれば、発赤、腫脹し、扁桃溝から突出し、時に壊死点をみとめる。


移動性で出血しやすく、粘液、膿が扁桃を被覆していることがある。牛、豚では伝染性疾患時には、慎重な検査が必要とされる。一般に扁桃は成長とともに退化するものです。


原因:通常、雪をなめたり、冷水を飲んだり、温度の激変などの寒冷によるか、細菌感染にもとづくことが多いといわれます。これらの二次的局所感染のほか、腎炎、関節炎などから二次的におこるともいわれている。また原因不明の疾患を、たびたび繰り返す時には、扁桃の精密な検査が必要なことがあります。


急性扁桃炎:1~3歳の犬によく見られ、突然の発熱、流涎、沈衰、元気喪失、食欲廃絶し、扁桃が腫脹して、咽喉頭部が狭窄するため嘔吐、発咳しやすくなる。あくびをよくするのも一つの特色です。


扁桃は著明に肥大し、発赤、突出がみられる。ジステンパーの時には、該部付近が発赤し、粘稠膿様液が被覆しているのがみられる。


慢性扁桃炎:主として若い犬に見られるもので、種々な間隔をおいて、間歇的に発症する。扁桃は発赤、肥大、突出し、両側のものがほとんど接触するくらいに大きくなることがある。


一寸接触しても出血しやすく、粘液はカタル性で、粘稠な粘液で被われている。発熱の時期には筋痛症myalgiaのため、歩行の異常をみることがある。


発作は数日続き、その間元気沈衰し、この発作を何回も繰り返して、次第に衰弱し、無気力となり、体重が減少し、毛艶がなくなる。


慢性扁桃肥大は、短頭種の犬によくみられ、肥大した扁桃が咽頭を閉塞し、発咳、むかつき、嘔吐をおこしやすい。


治療法:急性症にはサルファ剤、抗生物質の投与およびヨードグリセリンの局所塗布がよい。咽喉頭部のプリースニッツ罨法もよい。


慢性症か慢性肥大の場合には扁桃摘出術が指示される。

扁桃摘出術(tonsillectomy)



犬では通常、全身麻酔下で、側臥または伏臥保定とし、十分開口して、扁桃の基部を鉗子で把握し、1:5000のエピネフリンを扁桃表面と裏面に0.2mlずつ注入する。


3分後に、できるだけ扁桃に接して、周囲粘膜を傷つけないように鋏切する。時にはさらに根部を腸線で結紮するか、エピネフリン綿で圧定するか、または焼烙止血を行う。


その他、扁桃鉗子の利用、剥離子の応用、冷凍手術など二、三の方法も考えられています。

喉嚢の疾患(Diseases of the Guttural Pouch)



喉嚢は家畜のうちでは馬だけが持つ特異なものですが、その他バク(tapir)、犀(rhi-noceros)などにもある。喉嚢は耳管の拡張憩室(耳管憩室diverticulum tubae auditivae)で、300~450mlの空気容量がある。


薄い中隔によって左右両側に分かれ、その機能は十分には明らかでないが、顎関節の屈曲に必要な緩衝器官と考えられ、また中耳内圧の調整、食塊嚥下時の弾力器官などともいわる。

喉嚢カタルおよび喉嚢蓄膿症(catarrh and empyema of the guttural pouch)



原因:急性咽頭炎、伝染性耳下腺炎または耳下腺下膿瘍に併発する。異物などが耳管咽頭口より侵入して、慢性化膿性炎を生じ、かつ滲出物の排泄困難のため蓄膿を生ずる。


症状:頭部を下垂すると一時に多量の鼻漏を出すことがある。蓄膿があれば、粘稠濃様液を出す。耳下腺部が腫脹し、時に熱感、圧痛をみることがある。


耳下腺リンパ節の腫脹との鑑別は困難です。


喉嚢が著しく拡張すると、呼吸困難、嚥下困難がみられ、時に鼻口から飼料、飲水が逆流する。歩行の際に頭部を健側に傾け、また喉嚢内に柏水音を聞くことがある。


治療法:喉嚢切開術または喉嚢穿刺術が行われる。全身的にサルファ剤、抗生物質などを用いる。

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