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腎および尿管の疾患(Diseases of the Kidney and Ureter) ~ 腎の先天性異常、奇形・腎外傷・腎の腫瘍


腎の先天性異常、奇形(congenital abnormalities and malformation of the kidney)



先天的多発性腎嚢胞(嚢胞腎)が、各種動物に比較的しばしばみられる。その他、牛では特に臨床的に意義のあるものは少なく、馬でも一般に異常は少ない。


小動物においても、かならずしも多発とは考えられないが、予後判定上考慮しなければならないものがあります。腎無形成renal aplasia、腎形成不全renal hypoplasia、腎皮質形成不全renal cortical hypoplasia、原発性糖尿病primary renal glycosuria、シスチン尿症cystinuria、などが稀にみられます。


犬の種類としては、コッカースパニエル、ノルウェージャンエルクハウンド、ペキニーズ、アラスカンマラムート、ラサアプソ、シェパード、ミニチュアシュナウツァーなどに腎の先天性疾患がみられるといわれています。

腎外傷(injuries of the kidney)



犬では、全腹部外傷事故の10~20%のものは、種々の程度の腎の外傷を伴っていると言われますが、また反対に、腎は脊柱、肋骨あるいは厚い脂肪層、筋肉に保護されていることと、遊走腎であることとから、重篤な損傷の発生は少ない。


臨床症状が、ただちに明瞭に分らないものもが、一応ショック症状などの出た時は、十分慎重に処置する必要があります。


症状:


通常、全身的に種々な程度のショック症状がみられ、尿中出血の状態があり、腎部圧痛、腎部腹部の腫脹、時に肋骨の骨折、尿路障害、腹膜炎その他腹腔に、二次的化膿性尿浸潤がみられる。


実質に損傷があれば、腎包膜が損なわれ、出血のため、あるいはショックにより、当然生命の危険があります。それぞれ、障害のの場所、範囲、持続時間によって、さまざま症状を呈する


診断としては、X線検査(時に尿路造影法を用いることが必要となる)を行い、さらに腹腔穿刺により尿漏出の程度を確認し、血尿、蛋白尿、血液凝固状態を見、さらに最終的には試験的開腹を行う。


治療法:


高度のショックの時は、ただちに死に至るものもあり、まず、内科的に絶対安静、止血剤投与、輸液、鎮静剤投与、抗生物質および尿路消毒剤の投与も指示される。


外科的には、腎裂傷縫合術、腎部分切除、腎摘出術などを考慮します。

腎の腫瘍(neoplasms of the kidney)



家畜には、腎の原発性腫瘍はそれほど多くはみられない。牛や馬の腺腫、豚の腎芽細胞腫があるとされるが、臨床的にはあまり大きな問題とされない。


豚で、きわめてまれに外部から判定されるくらい巨大なものになったことがあるといわれる。


小動物では、腎臓癌はまれにみられる悪性の原発性腫瘍の一つで、年齢の進むとともに、発生率が高くなる。


尿細管上皮に由来する腎細胞癌は、血管、リンパ管によって転移することが多い。


転移病変は、しばしば反対側にみられることもある。特徴的な臨床所見は少ない。その他腎芽細胞腫も同様な臨床所見を呈する。


一側性の場合は、しばしば片側腎摘出術が行われます。


水腎症や嚢胞腎は、腎の腫大という点で腫瘍と混同しやすく、X線写真、超音波断層検査、さらに腎生検renal biopsyなどの活用による鑑別が有用です。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)