瀉下作用・下痢の発生機序  



病的な下痢でも下剤による下痢でも糞中の水分は多くなる。水分排泄の増加に伴ってNa⁺、K⁺、HCO₃⁻の糞中排泄も増加するので、下痢によって脱水症やアシドーシスを併発する。

作用機序の研究法

下痢発症の必要条件は糞中の水分増加ですが、糞中水分の増加には二つの原因がある。その一つは小腸・大腸の水、電解質の分泌促進であり、分泌量が吸収可能な量より多くなって腸管腔内に水分が貯留する機序です。

他の原因は小腸・大腸の水、電解質の吸収が抑制されたために起る腸管内水分貯留です。

下剤の作用機序の研究では、下剤の作用によって腸管内に水分が貯留することを確認するのは容易です。最も簡単な方法はポリエチレングリコール(PEG400)を溶解した塩類溶液に下剤を加えて腸管の特定部位を潅流する方法です。

PEG400は吸収されないので、帰還液中の濃度を測定すれば水分の出納が正であるか負であるかが判定できる。

水分を貯留させることは分かっても、その機序が分泌促進か吸収抑制かを決めることは容易でなく、複数のアイソトープを駆使した試験が必要です。


分泌亢進型下痢


炎症性変化

細菌、ウイルス、放射線などによって腸粘膜上皮に炎症変化が起ると、分泌が促進され吸収がが抑制されて下痢になる。

炎症によって遊離されたプロスタグランジンE(PGE)によると考えられている。

細菌毒素

コレラ菌や大腸菌のエンテロトキシンは回腸のCl分泌系を著明に促進して水様性下痢を起こさせる。この変化はcAMP依存型ですが、PGEには依存しない。

子豚や子牛に多発する病原性大腸菌による下痢がこの型です。

脂肪下痢

脂肪を多く摂取すると、消化によって遊離された脂肪酸の一部が水酸化され、結腸に達して塩分分泌系を促進して下痢を発症させる。

胆汁酸下痢

生理的状態では胆汁酸は小腸で吸収されますが、分泌量が多いと一部が結腸に達する。

胆汁酸は結腸上皮の密着帯を開いて水を分泌させるので下痢の原因になる。


吸収抑制型下痢


感染

豚の伝染性胃腸炎など一部のウイルス感染や腫瘍では小腸の粘膜上皮に退行性変化が進行し、①上皮細胞の細胞表面の消化能(二糖類消化など)と②吸収能が低下して下痢になる。

非吸収性物質

重金属などの非吸収性物質は結腸で管内浸透圧を上げて水分吸収を抑制する。

消化不良による下痢も非消化栄養分による結腸内浸透圧の上昇によって起こる。

大腸内発酵の促進

大腸内の発酵が異常亢進すると揮発性脂肪酸が大量に生産されて浸透圧を上げるので下痢の原因になる。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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