馬蹄の肉壁・肉底・肉叉の挫傷で、それらの部の小血管が損傷をうけて血液浸潤をきたしたものを蹄血斑といい、主として前蹄の蹄底の内側、ことに蹄支角の近くに発生し、後蹄には稀。
挫跖の原因
過小蹄および彎蹄・傾蹄・豊蹄・狭窄蹄・挙踵蹄・弱踵蹄など蹄質や蹄形不良のものに発しやすく、蹄底の過削・鉄尾の過短・剰縁の不足、蹄の乾燥・硬地上の激労などが原因となる。
挫跖の症状
軽度のものは、蹄角質に黄色ないし赤色、あるいは藍赤色の斑点を認める程度で、ほとんど跛行をみないものです(dry corn)。
しかし、挫傷が重度の時は、血液が滲出して角質が湿潤します(moist corn)。
原因が持続し、慢性の蹄血斑を認めるものでは、患部の角質は軟弱となり、変色して、慢性跛行を呈することがおおい。
二次感染が起って知覚部が化膿するときは、跛行が顕著となり、特に化膿機転が周囲に蔓延したものは予後不良です(suppurating corn)。
挫跖の治療法
患部の血斑はそのままとし、もっぱら合理的な装蹄をほどこして原因を除去します。
また患部に対しては圧迫を避けるような特殊蹄鉄、すなわち蹄底・蹄叉・蹄支の血斑では鉄板蹄鉄plate shoeや塡底蹄鉄rope shoeを、蹄踵の血斑には連尾蹄鉄full bar shoeまたは四分三連尾蹄鉄three quarter bar shoeを装着します。
また患部と蹄鉄の間に空隙を設けるか、鉄の接地面を削除して、患部に対する地上圧を緩和してもよい。
化膿性のものは除鉄して、局所を刮削したのち、消毒洗浄を行い、消炎をまって上記のような装蹄療法を実施します。