銅 Copper Cu ~ 症状

ビーブラスト・テキスト


銅中毒の症状



急性中毒は先ず局所刺戟作用あり、次で一般症状として筋麻痺を認めます。


食欲減退、口腔の緑色腐痂形成、屢々緑青色の吐物を伴う激しい嘔吐、便秘あるいは赤褐色の下痢便、歩行不能、衰弱、筋麻痺、知覚消失竝に痙攣などをみる。


これと共に心臓麻痺の症状として脈搏の細弱、緩慢、心搏動の衰退を来し、呼吸困難、虚脱に陥ります。


その他黄疸、血尿を見るものもあります。


ただし斃死に至るものは割合少い。


慢性中毒は胃腸カタル、疝痛、衰弱を来すが、その特徴は血色素血症と血色素尿症の出現と著明な黄疸です。

(a)2頭の馬が硫酸銅を含有する小麦粉を食して発病し、便秘、疝痛、発熱、筋の強直などを現わし、一は斃死し他は快復しましたが、数週間は元気がありませんでした。

(b)馬に45gの硫酸銅を与えたところ中毒して便秘、疝痛、下痢を起して斃死しました。

(c)30gの醋酸銅を舐めた馬は2時間を経て不安、興奮、疝痛を呈し、60gを与えたときは15分で疝痛を発し、脈搏は初め疾速でしたが後には弱く、且つ減少して30となり、その後食欲に異常はありませんでしたが、第6日目突然強度の衰弱と痙攣を起して斃れた。


生後18週の犢に毎日銅器中で牛乳と亜麻仁とを煮て与え、不消化の症状があつた。


多数の仔豚に馬鈴薯とニンジンとを銅鍋で煮て与え、不意に痙攣、嘔吐、舌および咽頭の麻痺竝に鼓脹症を発し、そのうち3頭は斃れた。


山羊

1頭の山羊は銅器に貯蔵された酸味のある肉汁を食して後、第3日目に発病し第4日目に斃死しました。


緬羊

実験中毒によれば少量を持続すれば慢性中毒に陥る。

例えば3頭の緬羊につき毎日0.5~3.0の硫酸銅を与えたときに、1頭は52日で89gに達し、1頭は114日で182.5gに達し、1頭は50日で50gに達して斃死し、その症状は蛋白尿、黄疸、血尿、血色素尿の他、筋の衰弱、痩削、便秘、消化障害などです。


(a)犬は中毒の際嘔吐作用が妨げられると死亡しますが、銅剤でも同様に硫酸銅0.6、醋酸銅0.3~1.0を8日間与え斃れ、また硫酸銅2gを3日間に、30gを1日間与えた時も斃死しました。

しかし硫酸銅を食物に混ぜて与え嘔吐し易いと死亡しない。例えば0.1~1.0を毎日与えて1ヶ月に亘ったが、これに耐えた。

(b)4gの硫酸銅を毎日内服した犬は数日の後始めて痩削、下痢などを発し終に死にました。

(c)硫酸銅の犬に対する致死量は皮下注射で0.4、静脈内注射で0.025gです。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
スポンサーリンク
336×280
スポンサーリンク
336×280
error: Content is protected !!