本菌は主としてライ麦に寄生しますが裸麦、燕麦、小麦、大麦やヌカボ、イチゴツナギ、カモジグサ、クマザサなどの野草にも寄生します。
麦角には一種のアルカロイド、エルゴトキシンErgotoxin C₃₅H₄₁N₅O₆ エルゴタミンErgotamin C₃₃H₃₅N₅O₅ その他を含み牛、家禽、豚、馬、羊の中毒例があり、本邦ではクマザサの実に寄生し牛馬に発生したことがあります。
症状
麦角中毒には2型あり一は壊疽性で他は痙攣性です。
牛および家禽の主徴は次のようです。
(1)胃腸炎
流涎と口腔、直腸、陰門粘膜の発赤、水疱炎、剥脱、壊死の他嘔吐、下痢、疝痛を見る。
(2)限局性壊疽
慢性症に見られ爪端、管部、球節飛端、耳端、尻端、乳房あるいは鶏冠、頸垂、爪趾などにミイラ変性があり、患部は黒変萎縮しあるいは剥離、溶解などをみます。
(3)子宮
陣痛があり流産、子宮脱、直腸脱などを起す。
(4)痙攣
知覚脱失、嗜眠、麻痺、瞳孔散大、失明、搐搦性痙攣、全身の強直性痙攣、虚脱に陥る。
療法
アルカロイド解毒法に従い他は飼料の変換、対症療法です。