ぺっとくすり

乳房の循環障害 ~ 充血・血乳・血腫


充血(hyperemia)



妊娠末期から分娩直後にかけて、乳房には生理的に充血がおこって潮紅し、硬くなる。


これはまた急性乳房炎の際および搾乳器の使用失宣の時にもみられる。

血乳(blood in the milk)



ミルクに血液が混入することはめずらしくない。これは赤血球の漏出diapedesisによるもので、遠心分離した沈渣にわずかに認められるものから、ミルクを紅く着色するものまで、出血量はさまざまです。


いずれもミルクの風味が損なわれる。


出血が慢性の時は、色素が上皮に沈着し、またミルクが褐色を帯びる。


分娩直後におこる少量の血液の混入は生理的と考えられ、せいぜい2週間で消失するが、その他の場合は病的であって、原因は多様です。


すなわち、粗暴な搾乳、乳房の外傷、ビタミンC欠乏、植物毒による毛細血管の損傷、刺激の強い薬の乳房内注入、また急性乳房炎の際にもみられ、慢性乳房炎で形成された肉芽組織、乳管洞上皮の増生組織なども原因となります。


レプトスピラ症、白血病の際にも発現するという。


乳房内の病的な出血をとめることは困難な場合が多い。しかし、まず冷水、氷で乳房を冷却するとともに、カルシウム剤、アドレナリンまたはその誘導体、ビタミンCの静脈内注射、輸血などの止血法を試みる。


乳房炎があれば、その治療を強力に行い、乳管洞内の増生組織は手術によって除去する。


重度の外傷のため、純粋の血液が多量に流出する場合は、予後が非常に悪く、化膿性壊疽性乳房炎になる危険が大きいから、これに対して止血法が無効な時は、1分房のみならば抗生物質を注入するとともに、その分房を乾乳させる。


しかし、2個以上の分房が冒され、貧血が明らかに現れた時には屠殺すべきです。

血腫(hematoma)



乳房内の出血が限局すると、血腫が形成される。


外傷のため、乳房内または乳房の前後で乳腺と腹壁の筋膜との間に、また浮腫のため重く下垂した乳房の乳房提靱帯が断裂して乳房基部に、大きい血腫が形成されることがあります。


血腫は外科的に処置する。


1週間後に腫脹部を切開して血液凝塊を除去する。そのあとの空所を弱い消毒液で洗い、あとは開放創として治療する。


分娩前後の乳房の浮腫または腹壁ヘルニアとの鑑別診断が必要で、場合によっては試験穿刺を行う。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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