クロラムフェニコール系抗菌性薬(chloramphenicols) ~ 犬猫での毒性は骨髄の造血機能障害であり、特に猫で発現し易い



クロラムフェニコールは抗生物質として発見されましたが、初期から全合成品が用いられています。テトラサイクリンと同じく広域スペクトル性抗菌性物質です。

クロラムフェニコール(科学)



水溶性が低く、安定性の良い物質ですが、苦みが極めて強いことが特色です。コハク酸Na塩が注射に用いられ、パルミチン酸塩として苦みを減じた塩が経口投与に用いられる。

抗菌作用



抗菌スペクトルがテトラサイクリンと類似し、広範囲の微生物に静菌作用を示す。


抗菌性が他の抗生物質より弱く、MICが0.5㎍/ml以下の菌種はない。この点ではサルファ剤などの合成抗菌薬と類似する。


クロラムフェニコールは細菌のリボソームの50S分画に結合し、tRNA・アミノ酸のアミノ残基とポリペプチドとの結合を阻害する作用によって蛋白合成を抑制すると説明されている。


クロラムフェニコールは能動輸送系によって好中球に取込まれるために好中球中の濃度が高くなり、好中球が食菌した細菌の分裂を阻止する。

生体内動態



経口投与後の吸収は速やかで、1~2時間で血中濃度が最高になる。注射では筋肉内注射後の吸収が中程度の速さで、血中濃度が最高になるのに2時間が必要です。


クロラムフェニコールは細胞膜透過性の優れた化合物で脳脊髄を含む全身組織に分布します。肝でグルクロン酸抱合され、尿中へ排泄される。


クロラムフェニコールの各家畜における消失速度が測定されており、その係数から血漿中濃度を5㎍/ml以上に保持するための投与計画を立てることができる。

毒性



犬猫での毒性は骨髄の造血機能障害であり、特に猫で発現し易い。長期投与では毒性の発現する可能性が高いので、短期間だけの使用に限ることが必要です。

臨床応用



応用範囲の広い薬物ですが、特に豚や鶏のサルモネラ症、ヘモフィルス症に有効です。


これらの疾病の防除には飼料添加投与法を用いる。

残留



医学臨床では、ごく一部の患者に致死的な再生不良性貧血が発症している。この疾病は過敏症であり、過敏症では用量域値が明確でない。


このためにADIの設定が難しく、食料生産用動物での使用を禁止もしくは制限している国が多い。

チアンフェニコール(thiamphenicol)、フロルフェニコール(florfenicol)



クロラムフェニコールと類似の合成抗菌性薬。


in vitro(試験管)での抗菌作用ではクロラムフェニコールに匹敵する。分布容が小さく、血漿中濃度は高くなるが、細胞内には殆ど分布しない。


したがって細胞内増殖性細菌による感染症では有効性が落ちるが、逆に造血毒性の可能性は低い。

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