ぺっとくすり

前立腺結石・前立腺の腫瘍


前立腺結石(calculi in the prostate)



前立腺に結石が生ずることはまれです。


前立腺内に形成される真性(内性)の結石症と、上位の尿路において形成された結石が尿道の前立腺部につまる仮性(外性)の結石症とがありますが、後者のほうが発生が多い。


前者は前立腺の増生がある老犬に発生するがきわめてまれです。後者(仮性前立腺結石症)の場合には結石による不完全または完全尿道閉塞の症状が現れる。


挿入カテーテルの捻髪感(軋轢感)crepitation、直腸からの触診、X線によって診断します。膀胱切開または会陰部尿道切開を行って結石を除去します。

前立腺の腫瘍(neoplasms of the prostate)



前立腺に原発する腫瘍のうち良性の腫瘍としてはまれに腺腫、平滑筋腫がありますが、これらは臨床的意義は少ない。原発性の悪性腫瘍はおもに癌腫、まれに肉腫であって、犬では決して少なくはない。


また続発性の腫瘍としては癌腫、肉腫が他から転移して発生することがありますが、きわめてまれです。

病理:



癌腫が発生している前立腺は一般に小さく、硬く、結節状、非対称であり、周囲組織に癒着しています。しかし時には軟らかく、かつ大きいこともあります。


多くは腺癌であって、前立腺の包膜、尿道、膀胱、直腸壁、骨盤腔の軟部組織に浸潤し、またリンパ節、肺、肝、腎その他に転移します。骨転移は少ない。

症状:



前立腺癌の初期には別に症状は現れない。


病機が進行すると便意頻数pollakico prosis、努責、排糞時の疼痛、便秘、背と尾をまるめる、不安、触診時の前立腺の疼痛、後軀を咬む、がに股で歩くなどの症状が現れ、次第に貧血し、悪液質におちいる。


腫瘍が大きい時は会陰が膨隆する。


排尿障害のおこることは少ない。最後には食欲廃絶、嘔吐、下痢がつづく。

治療法:



治療はすべて姑息的な効果をうるにとどまる。去勢と少量のエストロジェン投与は疼痛と症状を和らげる。


末期の症状を呈するものは安楽死させる。


初期に前立腺の全摘出によって治癒させうることもまれにはありますが、手術時にはすでに周囲組織への浸潤、あるいは転移がおこっていることが多い。


X線照射によって腫瘍が縮小することがありますが、一般に効果が少ない。