ブラウン・スイス(Brown Swiss)

ブラウン・スイス
ブラウン・スイス



スイス北東部の山岳地帯の原産。そこでは乳、肉、役の3用兼備の牛として発達しました。しかし現在は、原産地でも役のウエイトは非常に低い。


むしろ乳、肉が用途対象です。


アメリカでは完全な乳用種として改良され発達しました。本種の原産地は標高が高く、山岳の険しいところであり、気象的にも厳しいところです。


夏期はアルプスの放野に牛を放牧し、搾乳もそこで行います。


晩秋、山から牛をおろし、冬は山麓とか谷間の牛舎で牧乾草を主体に根菜類と少量の濃厚飼料を与えて舎飼いします。早春過ぎればふたたび山に牛を放牧します。


このような環境であるので、頑丈な体質を持つように育種されてきました。


また、その点が高く評価されて、種畜として諸外国に輸出されています。本種は他の品種との交雑は行わずに、一定の目標をそのときどきに立て、選抜して改良を進めてきました。


アメリカで完全に乳用本位に改良された場合でも、その改良方法は同じでした。


現在スイスのツーグに本種の登録協会があり、乳用能力検定を実施し、改良の実をあげています。

ブラウン・スイスの詳細



毛色は銀灰色から黒褐色にいたる濃淡さまざまの一枚毛ですが、口の周囲に淡色の輪ができ、背線にそうて淡色の条があるものが多い。


鼻鏡、舌、角の先端、尾房は黒色で、内股および乳房は著しく淡色です。


一般に雄は雌より濃色です。生まれたばかりの初生子牛は、銀色の産毛でおおわれていますが、これは発育につれて褐変していきます。


体格は乳用牛としては大型の方です。体高、雌約128cm、雄約140cm、生体重、雌500~600kg、雄700~1,000kgです。頭部は大きく、額は広く、頸は短く太くて、管も太く、乳牛としては粗野な感じはあるが、反面、四肢がとくに丈夫で頑健そのものの感じがあります。


いわゆる山岳牛です。


肩は幅広く、筋肉の発達が良い。腰角が大きく突出しているのが目立つが、尻は水平です。乳房は質はあまり良くないが、形はよい。容積もあまり大きくはない。


しかし、アメリカで乳用牛として改良されたものは、すばらしい乳房をもっています。皮膚は一般にゆとりがあるが厚い。

能力



年間乳量は、3,000~4,000kg、分娩後の最高乳量はあまり大ではないが、1日10~15kgぐらいの乳期がかなり長い。乳脂率は平均4.0%で、脂肪球は小さく、平均直径2.5μです。


牛乳は黄色味がなく白い。


飲用乳、チーズ、練・粉乳用原料乳として好適です。スイスではチーズが主要な農産物となっています。


性質は温順で、体質は頑丈であり、管理が実に楽です。粗放な管理や厳しい気象条件に耐え、飼料に好き嫌いがなく、何でもよく食べます。


性成熟は晩熟で、ふつう20か月すぎてから初種付けをなし、初産分娩は30~36か月令です。妊娠期間は約280日とされています。性成熟が遅い反面、長命で繁殖並びに生産活動が長く、12才以上になって高能力を発揮する例も多い。


最盛乳期があまり長くないせいか、分娩後の受胎は容易で、ほとんどすべての牛が分娩後70日以内に妊娠します。


兼用種として発達したせいか、肥育性も良い。ただし、肉質は筋繊維が粗く、あまり良好ではない。また、管が太く、いわゆる骨太な牛であるから、枝肉の歩留はさほどではありませんが、正肉の歩留は良くない。


子牛の生時体重は、40~43kgで大きい。


したがって、雄子牛は子牛肉生産に向いています。

分布



原産地スイスでは主として、チューリッヒ、セントガルレン、ルサーン、ツーグ、シュワイツの諸県に分布しています。スイス全牛、1,646,000頭の45.5%を占めています。


この種畜としての外国輸出は、スイスの重要産業の1つです。


ツーグの登録協会前の広場で毎年行われる種雄牛の市場は、そのため例年繁昌しています。ヨーロッパに広く分布し、イタリー、フランス、オーストリア、東ヨーロッパ諸国、ロシアに輸出されています。


また、ブラジル、アルゼンチンにも輸出され、乳用牛として利用されています。


アメリカではとくに乳用能力の高いものがすでに育種されできています。本邦にも明治34年(1901)以降、スイスから輸入されたことがあり、和牛の改良に用いられました。


本邦では乳用牛として輸入されたことはありませんが、昭和24~25年(1949~1950)にアメリカから、ララ物資として贈られたことがあります。


現在は、ほとんど絶えてしまったようです。

キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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