(a)BHC溶液
無色透明の液体で、ベンゾール臭があり、水には溶けない。
有効成分はγ-BHCで1%含まれています。主として貯穀害虫に使用されますが、これを更に濃厚なものとして防疫用にも用いられます。
(b)BHC粉剤
250 メッシュ以上の白色微粉末で、クレー、カオリン、タルク、珪藻土などpHの低い増量剤と混合し、γ-BHC量0.5、1、1.5、3、5%のものがあります。
DDTと異り揮発性があるので保存が悪いと毒力を減ずる。防疫用としては1.5%が使用され、ノミ、シラミ、蚊、ハエ、ダニ、ブヨなどの駆除に用いられますが、最近は悪臭の少いγ99%以上含有のものが用いられます。
(c)BHC水和剤
白色の粉末で水和性があり水に混ぜて用います。
粉末を水に加えて攪拌すれば、乳濁色の懸濁液が出来ます。本剤には5、10%のγ-BHCを含むものがあります。
使用濃度は大体γ-BHC0.02~0.05%であつて、今5%水和剤で0.01から0.1%溶液までの濃度のものを得るには下記の通りです。
BHC水和剤の使用濃度と薬量
●使用濃度(%)
0.01
●水1斗に対する薬量(g)
36
●使用濃度(%)
0.025
●水1斗に対する薬量(g)
90
●使用濃度(%)
0.05
●水1斗に対する薬量(g)
180
●使用濃度(%)
0.1
●水1斗に対する薬量(g)
360
(d)BHC乳剤
γ-BHC 10~25%を含む透明あるいは半透明の黄褐乃至黒褐色の液体で、これに水を加えて乳濁液として用います。
使用濃度はγ-BHC0.02~0.05%で10%乳剤を0.01から0.1%までのものを作るには下記のようにします。
BHC乳剤の使用濃度と薬量
●使用濃度(%)
0.01(1000倍液)
●水1斗に対する薬量(%)
18
●使用濃度(%)
0.025(400倍液)
●水1斗に対する薬量(%)
45
●使用濃度(%)
0.05(200倍液)
●水1斗に対する薬量(%)
90
●使用濃度(%)
0.1(100倍液)
●水1斗に対する薬量(%)
180
(e)リンデン
リンデンというのはγ-BHCの純粋なもので、乳剤と粉剤があります。
前者はリンデン10、20%を含んだ乳剤であり、後者はリンデンを0.5、1%含む粉剤で、ともに悪臭と薬害が少い。
(f)BHC除虫菊乳剤
除虫菊とBHCと混ぜた乳剤で、ピレトリンの速効性をとり入れてBHCの効力を強化したものです。ふつうγ-BHC3%ピレトリン0.5%を含んだ黄褐乃至黒褐色の液体で、400~1000倍に薄めて使用します。
(g)BHCデリス乳剤
γ-BHC5%とデリス有効成分ロテノーンを1%を含む乳剤で、その400~800倍液を用いる。