筋の萎縮、肥大および拘縮 ~ 栄養失調、慢性消耗性疾患、老齢などから全身的筋萎縮がおこります


筋の萎縮(atrophy)



栄養失調、慢性消耗性疾患、老齢などから全身的筋萎縮がおこります。


一方、疼痛、損傷などによる筋の麻痺ないし機能減退の時に、限局性の筋萎縮がおこる。なかんずく、家畜では四肢の筋の不働性萎縮(廃用萎縮)atrophy of disuseが、もっともしばしば遭遇するものです。


その原因は、外傷、腱断裂、関節炎、関節強直、骨折などによる長期の運動不能であって、通常は患肢の筋が全体的に萎縮します。


不働性萎縮は経過がはやく、1ヶ月に約25%の重量を失う。しかし、回復は非常に緩慢です。


重度の萎縮の場合には、機能は回復することはあっても、容積はもとにもどらない。また不働が長期にわたる時は筋内に線維形成がおこります。


神経傷害による筋萎縮atrophy of denervationの場合には、その神経の支配領域の筋に萎縮がおこる。


馬の左側反回神経N.recurrensの損傷(喉頭片麻痺laryngeal hemiplegiaまたは喘鳴症roaring)、打撲による馬の肩甲上神経N.suprascapularisおよび橈骨神経N.radialisの損傷、あるいは犬の橈骨神経および腕神経叢plexus brachialisの損傷の場合に現れる。


多くは筋が次第に変性に陥り、再生機転が現れず、筋全体が線維様索状物に化する。


馬の臀筋萎縮について、脊髄副交感神経の関与が指摘されている。


筋萎縮に対しては、原因を除去し、患部のマッサージ、電気療法、他動運動、運動訓練をほどこすことにつとめる。

筋の肥大(hypertrophy)



個々の筋線維の拡大によるもので、通常、激しい運動、訓練によって発生します。


激しいトレーニングの競走馬、犬、猫で断脚術後の対側健肢などにしばしばみられ、また特殊な肉牛にみられたという報告もあります。

筋の拘縮(contracture)



永続的な筋の攣縮ないし短絡をいい、外傷、不働によって、また運動神経の損傷の際におこります。


次第に筋線維が結合織によって置換されるが、重度の例では筋がねじれるようになる。


先天性筋拘縮congenital muscle contractureの例としては、斜頸torticollisがすべての種類の家畜にみられる。


その他、先天性の筋の異常として、ホルスタイン種子牛の腓腹筋および浅趾屈筋の短縮、子牛・子馬・子羊の、主に前肢に発する先天性の突球、ホルスタイン種子牛の後肢にみられる痙攣性不全麻痺spastic paresis、スコッチテリヤのいわゆる”Scottie cramp”などがあります。

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キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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