剖見
砒素中毒の臓器は久しく腐敗しないのが特徴で、甚しい場合は全身がミイラ化するものがあります。
急性の場合は咽・喉頭粘膜の潰瘍、胃および小腸上部粘膜の変化で充血、発赤、腫脹、溢出血、糜爛潰瘍あるいは浮腫、偽膜を生じ水様の内容物を満す。
また肝の帯黄色が見られます。
牛では第四胃に糜爛、潰瘍、時には腹壁までの穿孔を認めます。
而して甚しく急性でないものは胃、肝、腎、心臓その他に脂肪変性があり、小血管も亦脂肪化し、胸膜および心外膜下に溢出を見ます。
慢性の場合は第四胃および大腸における古い潰瘍および瘢痕形成の他気管粘膜の潰瘍、全身の痩削、水腫などがあります。
組織的には肝の壊死巣および腎細尿管の変性が認められます。