アルドリン・ディールドリン・エンドリン ~ 原因

ビーブラスト・テキスト



本剤中、本邦において実際に使用したのは昭和30年春からで、家畜の自然中毒では苗代にエンドリン乳剤を使用し、その余り苗を乳牛に給与して中毒したものあるいはエンドリン乳剤の瓶を飼育槽の上の棚に置き、その原液が飼料に混入して斃死した豚などがあります。


本剤の家畜に対する毒性試験を昭和30年春以来、山羊および鶏を用いての実施の際の要約は以下になります。


試供薬剤はエンドリン乳剤(日本農薬)で、試験毎に水を加えて乳剤とし、ピペットでそれぞれ経口的に投与しました。


山羊を以て試験した結果から考えると、エンドリン乳剤の原液0.1cc(体重当たりエンドリン実量0.001368)以下では殆ど中毒症状を示さず、0.5cc(体重kg当たりエンドリン実量0.00634)では比較的軽いが明らかな中毒症状を発し、4~5時間位で回復しました。


これは中毒量附近と見て差支えない。


また、1cc(体重当たりエンドリン実量0.01368)では極めて猛烈な症状の下に急死しています。したがって致死量は0.6から1.0の範囲にあるものと推察されます。


また鶏では黄斑プリマスロックおよび白色レグホーンを用い中毒乃至致死量、中毒症状の出現の時間、症状軽減までの時間などを観察しました。


成鶏に対する致死量はエンドリン乳剤原液で凡そ0.1cc/kg(エンドリン実量0.02cc/kg)で、山羊に比べると抵抗力が高いように見えますが、仔山羊と成鶏によるものと推察されます。


ただし乳剤原液量0.06cc(エンドリン実量0.012cc)で中毒の症状を示さず極めて慢性経過をとり15日目に突然斃死した例があり、これは本剤の残効性と関係があるものと考えられ興味深い。


本毒の作用機転については不明ですが、先ず消化器粘膜から吸収されて血管に入り、次いで全身を循環し、特に中枢系に作用するものと解されます。


またその本態についてはエンドリンの性状から推察してそれ自身の影響と考えられますが、有機溶剤も亦大きな役割を持つものと思われます。

アルドリン

ネズミに25ppmを与えると肝臓を害し、50ppmでは著しい中毒を招く。


犬に対しては1mg/kgで109~344日で斃死し、5mgでは21~22日死す。


ディールドリン

ネズミに毎日25ppmを与えると肝臓に障害を起こし、50ppmでは著しい中毒があり、犬に0.5mg/kg与えると14~20日で死亡します。


経皮試験ではウサギは150mg以下であり、家畜では次の通り2~4%溶液で中毒します。


仔牛…0.25%、成牛…2%、仔羊…3%、羊および山羊…4%、また経口投与では仔牛…10mg/kg、仔豚…50mg、羊・馬…25mgで中毒します。


エンドリン

山羊の経口投与で原液70mg/kgで死し、鶏では100mg/kgで死す。



また何れの場合もDDTなどと同様、肉や乳に出現します。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
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