アバディーン・アンガス(Aberdeen Angus)

アバディーン・アンガス
アバディーン・アンガス



イギリスのスコットランド原産の肉用牛。毛色は黒で無角を特色とします。この無角の起源については諸説があります。


多くの科学者は化石からみて、古代の牛にすでにこの無角性があり、古代の馬に原型の3本趾のものが、ときどき生まれたと同様に、牛にもこの無角性がときどき生まれ、それが続いてきたのだとしている。


しかしダーウィン(CHARLES DARWIN)は突然変異として生じたとしています。


いずれにしても野生のものが家畜化された初期に、選抜によって固定されたものとされ、非常に古いものとされています。その証拠にB.C.5世紀のギリシャに無角の牛の記述があり、古代エジプトの彫刻、壁画にもあります。


本種の起源については判然としない点がありますが、北スコットランドの無角の土産牛から発したらしく、フォーファーシャー州(Forfarshire)(後のアンガスシャー州)とアバディーンシャー州(Aberdeenshire)がその原産地とされています。


前者では1797年に、後者では1523年に、おのおの無角牛の記録があります。


この両州の2つの無角牛の系統が別々に繁殖されていましたが、1830年ごろから両者を交配しだしました。


これを初めて計画的に行った人が有名な育種家、ウイリアム・マックコムビル(WILLIAM Mc-COMBIL)です。その後、本種をアバディーン・アンド・アンガスというようになり、後にアンドをとって、アバディーン・アンガスというようになりました。


Mc-COMBILがこれを行うまでは、ほとんどすべての場合、別々に近親繁殖だけを行って改良を進めていましたが、これは、ある程度牛の体型が整うまでのことだとして、その後はむしろ近親繁殖を避けました。そして結果的には成功しました。


なお19世紀の初めに、スコットランドに改良ショートホーンが導入されて、この無角牛と交配されて、さかんに雑種が作られたことがあります。


その雑種は肉用として好評だったので、その造成は大流行となりました。その影響で無角牛がどうなるかと案じられましたが、さいわいに1部のひとが無角の純粋種の必要性を痛感して、これを保存しました。


その結果、後になって、より以上優良な無角の作成もできました。


一代雑種の有利性も、その基の純粋種の確保があってこそ、えられることです。このようなスコットランド人の熱心な改良心により本種は漸次名声を博し、世界各国に拡がりました。

アバディーン・アンガスの外観



典型的な肉牛型をなす黒毛、無角の品種です。


ときに赤毛のものが生まれるが、これは失格です。雌で乳房部に小白斑をもつものが、ときにあります。雄では恥骨部に小白斑のあるものは嫌われます。


被毛は短く、ときに縮んでいることがあります。


体格は中等で、体高、雌約128cm、雄約135cm、体重、雌530kg、雄900kgです。体に比し頭部は小さく、顔は短く、幅広い。牛体の側望は長方形ですが、ショートホーンやヘヤフォードなどと異なり、全体の輪郭は丸みを帯びています。


その他、体の肉付全体も豊円です。体深にとみ、肋の開帳もよく、飼料の利用性大で、所謂もの食いが良い。乳房の発達も比較的良い。

能力



早熟早肥で、肉用牛のうちでは肉質が良い方です。去勢牛の若令肥育で、優良な粗飼料を使えば、粗飼料主体の飼育法で、1日1.0kgは増体しえます。


枝肉の歩留も高く、62~65%。性質はやや神経質なところがあります。


性成熟は早く、初種付の月令は15~18か月、初産分娩月令は25~28か月です。また、妊娠期間は275日ぐらいです。乳量も子牛哺乳には十分であり、肉用牛としては多い方です。

分布



イギリス本国を初めとして、全世界に拡がる。


アメリカにはショートホーンより90年、ヘヤフォードより56年おくれて1873年にスコットランドから輸入されました。


現在アメリカで主要な肉牛として発展しています。カナダ、アルゼンチン、ブラジル、オーストラリアなどに分布しています。


本邦にも大正5年(1916)、農林省がスコットランドから輸入しました。


これが現在の本邦の無角和種の造成に貢献しました。


なお最近、オーストラリアより熊本県および北海道の1部に輸入されました。これは民間で輸入したもので、現在純粋繁殖を行っています。


また、農林省は岩手種畜牧場(盛岡市外)にオーストラリアから輸入し、けい養しています。

スポンサーリンク
336×280