
ハッカン
ハッカンも亦、金鶏、銀鶏に劣らない立派な美しい鳥で、それらより体が大きいです。
小鳥の方で、ウグイス、オオルリ、コマドリを3名鳥と言われておりますが、雉類の3名鳥といえは、金鶏、銀鶏、ハッカンを挙げて良かろうと思います。
何物にも増して美しく、比較的人に良く慣れるし、又飼育繁殖ともに容易です。
此の鳥は印度支那に近い支那の南部の高所に産し、5,000年も昔の支那の詩や記録に出ており、古くから装飾用に使用されていました。
我国には徳川時代から飼われており、又繁殖もなされています。
雄の顔面は紅色で、長い立派な羽冠は紫がかった黒色、体の上面は白色ですが、白の中に細い黒の縞があって、白の美を強調しています。
嘴は黄色ですが、足は紅色です。頭頂と腹部は紫色がかった黒色で、上面と対照的です。尾は鎌状で、中央尾羽は白色ですが、外側の方は白に細い黒の縞があり、立派な尾羽です。
雌の方は、体はオリーブ褐色ですが、黒い細い条が入っており、顔面は紅色で、羽冠は黒褐色です。
足は紅色です。卵の大きさは5.1cm x 3.9cmで、孵化日数は25日です。
第2年目の春から産卵をします。産卵期になると、激しく飼い主に攻撃を加えて、鋭い嘴で突っかれて負傷しますから、産卵期には革の手袋をはめて、禽舎の中へ入ります。
飼料、飼い方は金鶏に準ずれば良いのですが、雄が雌を攻撃して危害を加えますから、禽舎は金鶏より広く、2m x 2mの広さは必要です。
且つ禽舎内に雌の隠れ場として、竹の藪を作っておき、雄から攻撃されたとき、此の中へ逃げ込める様にします。
飼料は金鶏と同様ですが、繁殖期にはイナゴ、バッタなどを与えるとよく、此等が入手できない時は蚕踊粉を添加すると良いのですが、此れは鯉の餌としてペットショップに売っています。雄の人間への攻撃は雌が産卵する2週間位前から始まり、産卵期が終われば自然消滅してしまいます。
又簡単に魚粉を繁殖期に10%程余分に与えるのも結構です。
卵は産卵期に取り去り、1週間または2週間貯蔵してから孵卵器に入れるとよろしいのです。
ハッカンも亦種間に雑種が多く出来た例があり、ハッカンの場合、屬間雑種も出来ています。
サンケイ、オナガキジ、金鶏、カラヤマドリ、鶏、ヨーロッパヤマウズラの間に交雑種が知られています。