日本雉 Green Versicolor Pheasant

ビーブラスト・テキスト
日本雉
日本雉


皆様も知っておられる通り、此れは日本の国鳥に指定されています。


国鳥に指定された理由は次の通りです。(黒田長礼著書より)
●日本人には古くから関係が深く、古事記や、日本書記に既に其の名が出ており、子供などにも良く知られている。

●日本固有種(但し、実際は亜種らしい)として、ヤマドリと共に日本を代表している。

●渡りをあまりしないので、大体同一地方に年中棲み、其の姿は人里近くでも見られる。

●雄は色彩や形態が鮮麗で優美である。

●狩猟鳥として、大形で、第1位を占め、鮮肉は圭良である。

●飛行力は強いが、短距離を飛び、其の飛び立ちの羽音の勇ましい事が男性的であり、其の半面、雌は育雛上母性愛の強いことで有名である。

日本の国鳥に指定されたのは昭和22年3月22日の日本鳥学会の第81回の例会で、出席者の投票で採決されたものですが、黒田長礼博士は、ヤマドリの方をむしろ国鳥にしたい意向の様でありました。


それはキジの方は大陸に多くの親類があるのに対し、ヤマドリは南中国の尾長雉と台湾のミカド雉という親類があるだけで、然も、其の親疎はヤマドリの方が遥かに縁が遠いからだったのです。


此の時代は連合軍が日本に駐留し、鳥学会の例会には、アメリカのオースチン博士も同席し、又同氏宅で開かれた会合でありました。日本雉は日本人の好みに合う美しさを持っている点ではヤマドリより上であろうし、又ヤマドリの方が深山にいる為めに、キジより日本人の目には親しむ機会が少なかったでありましょう。


今や、世界の秘境で種々美麗な鳥が発見され、文明国へもたらされました為に、日本雉が最上最美の鳥として誇るわけにはゆきません。日本雉は北海道にはいませんが、青森から九州の南を越えて種子島、屋久島迄日本全土に分布していて、4種類おります。

●キタキジ
新潟県、福島県よりの北部本州及び佐渡

●キジ
本州中部から西部及び四国

●キゥシュウキジ
山口県、九州全土、五島列島

●シマキジ
本州の南部に沿って分布(伊豆半島、三浦半島、伊豆大島、種子島、屋久島)

此等4種の違いは羽色の僅かばかりの相異であります。


此の雄は腹部は金属光沢の黒緑藍色で、背面は栗色と黄色の地味ではあるが美しい模様があります。


頭には黒緑色の毛耳がありますが、頸には大陸系の雉の白輪がないのが特徴でありますが、希には白斑のあるものも有り、やはり日本列島が太古の時代には大陸と陸続きであった事を示しています。


雌は枯葉の中で保護色をなす極めて地味な黒褐色のまだらがあります。


雄は眼の周囲に鮮やかな赤色裸出部があります。又尾は長く、灰緑色ですが、黒の横線が沢山入っており、紫赤色と灰色に光った縁があります。


平地から1,200m位迄の高さの処にいます。草原や灌木林におり、夜は樹の上で寝ます。


地震に非常に鋭敏で、地震の際は殆ど同時に大声で鳴きます。


食物は木の実、草の種ですが、又クヌギの堅果等も食します。昆虫類としてはイナゴ、バッタ、コオロギ、アリ等でトカゲ、カタツムリ、タニシ等も食します。


雉の雄は蛇に襲われたときは、自らすすんで胴体に巻き付かせておいて、巻き終わった頃に全身の力で両翼を拡げて、蛇の胴体を真二つに切って殺す話は有名です。


こういう方法によって、雌の抱卵中の巣を雄が守ります。


雌は又抱卵に熱心で、危険が迫っても巣を立たない話も有名です。


自然界では繁殖期には小群を作って、雄1羽に雌数羽で生活しますが、秋から冬には、雄同志と雌同志の群れに分かれて生活します。

キジと水鳥 仲田幸男
キジと水鳥 仲田幸男 昭和46年12月20日 ASIN: B000JA2ICE 泰文館 (1971)
スポンサーリンク
336×280
スポンサーリンク
336×280
error: Content is protected !!