動物用医薬品として許可になっている殺虫剤は大別して、有機燐系、カーバメイト系、ピレスロイド系です。ところが、同じ薬剤を長年月にわたって頻繁に使用すると、ハエはその薬剤に抵抗性が発達してきます。
抵抗性ということは、薬剤を散布したりしてもハエはだんだん死ななくなることです。
つまり、免疫のように個々のハエが薬剤に対して強くなるということではありません。
それでは抵抗性ということは何かというと、国連のWHOでは「その昆虫に対して致命的であるはずの薬剤の量に耐えられる能力が、その昆虫の集団に発達することである」と定義されています。
通常の使用量の薬剤によって死ぬハエを感受性のハエといい、死なないハエを抵抗性のハエといいます。薬剤によってこれらのハエの集団を淘汰すると、抵抗性のハエがその集団では多くなってきます。
こうなると、いくらか薬剤散布してもハエは死ななくなります。
ところが、さらにむずかしいことには、ある薬剤に対してハエに抵抗性が発達してくると、同系統の他の薬剤にも抵抗性を示して、ハエは死ななくなります。
これを交叉抵抗といっています。
現在ではこのように、どんな殺虫剤を使ってもハエは死なないという地域さえもでています。
それでは抵抗性のハエ対策はどうすべきか。これは地域によって抵抗性の発達程度が違うので、一律に対策をたてることはできません。
それで、まず抵抗性の発達程度を調べてから、それぞれ都合のよい対策を講じなければなりません。この抵抗性のハエの対策としては…
①現在使っている薬剤の使い方を変える
②他の殺虫剤と混用する。
③別系統の薬剤を使用する。
④薬剤に共力剤を混ぜて使用する。
⑤新しい殺虫剤の開発。
でしょう。
ハエ防除プログラム
畜舎内のハエ防除計画をたてることはむずかしい。
ハエ防除には、環境整備、幼虫対策(発生源対策)、成虫対策(器具、殺虫剤など)を併用して実施しなければなりません。
要は衛生的な環境で家畜・家禽を飼養することに努めることで、これらのことは一年間を通して実施するようにします。
まず環境整備を行った上で幼虫対策、成虫対策をします。
幼虫は家畜糞便と密接な関係にあるので、年間を通して堆肥舎、堆肥盤、乾燥などの方法で糞便を速やかに処理します。
なお、ハエの発生の多い5~11月ころまでは、畜舎から搬出された堆肥上に殺虫剤を散布します。
成虫対策は器具などを使う方法と、殺虫剤による方法とに分けることができます。冬季、ハエ飛翔数の少ない時に、ハエたたきでハエを殺すことは有効です。
その他の時期には、ハエとりリボンやハエとり電撃器を使用します。以上の方法を用いてもハエの多いときには、初めて殺虫剤を使います。
まず、なわのれんを畜舎などの出入口、窓に吊下げる。ハエの数が多くなりだしたら毒餌を作る。薬剤の空間噴霧や残留噴霧は、ごくハエの数の多い時のみ実施します。
したがって、環境整備、幼虫対策、成虫対策の順に作業すべきであると思われます。さらに、注意すべきことは、このハエ防除年間プログラムは個別的に実施しても効果はあがらず、地域運動として、町村や部落内の農家、非農家が共同して総合防除をしなければ、ハエ防除の効果は少ない。
