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前気門亜目(Trombidiformes) ~ ニキビダニ(毛包虫)Demodectic manges

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ニキビダニ 家畜害虫

 
 
ニキビダニは毛包虫demodectic manges, hair follicle mites, face mitesなどといい、人をはじめ各種の家畜の皮膚内に寄生しているダニです。
 
 
このダニは健康な人や家畜にも寄生していることがあり、症状を呈しない場合があります。人に寄生するニキビダニはDemodex folliculorum(SHIMON,1842)といっています。
 
 
また、家畜などに寄生しているものはそれぞれ種名がついていますが、これらの種類はD.folliculorumの変種とされています。
 
 
ニキビダニの種類とその宿主は下記となります。
 
 

●ニキビダニ:Demodex folliculorum(SHIMON 1842):宿主:人

●イヌニキビダニ:D.canis LEYDIG,1859:宿主:犬

●ウマニキビダニ:D.equi RAILLIET,1895:宿主:馬

●ウシニキビダニ:D.bovis STILES,1892:宿主:牛

●ブタニキビダニ:D.phylloides CZOKOV,1879:宿主:豚

●ヒツジニキビダニ:D.ovis RAILLIET,1895:宿主:羊

●ヤギニキビダニ:D.caprae RAILLIET,1895:宿主:山羊

●ネコニキビダニ:D.cati MEGNIN,1880:宿主:猫

 
 

ニキビダニの形態

 
 
ダニは一般に卵円形をしていますが、ニキビダニの形はこれらダニと比べてかなり違っています。その形は細長く、イモ虫のようです。
 
 
大きさは雄0.22 x 0.04mm、雌0.27 x 0.04mmというように小さなダニで、胴体部の前半は割合に幅広くなっていますが、後方(尾部)は細くなっています。
 
 
顎体部は短くて広い。
 
 
歩脚は成ダニ、若ダニは4対ありますが、幼ダニでは3対です。これらの脚は太くて短い。体表には毛はありませんが、胴体部に環状のこまかい横縞があります。
 
 
触肢は小さく、鋏角の先端は針状になっています。
 
 
生殖器は雄、雌でその位置が異なり、雄の陰茎は第2~4脚間の背面に、雌の性門は第4脚基節の腹面にあります。卵は紡錘形をしていて0.08 x 0.03mmの大きさで、腹面は背面にくらべて少し膨隆しています。
 
 

ニキビダニの生態

 
 
ニキビダニは卵から成ダニまでの全生涯を宿主の皮膚内(毛包や皮脂腺など)ですごしています。イヌニキビダニは犬の皮下リンパ節にもいるといわれています。
 
 
寄生部位は頭部に多いですが、全身におよぶこともあります。
 
 
おもな寄生部位は、鼻、眼の周辺(ニキビダニ‥人)、頭の周辺(イヌニキビダニ)、頭、頸の周辺(ネコニキビダニ、ウマニキビダニ、ウシニキビダニ)、全身(ブタニキビダニ)ですが、これ以外の部位にも寄生します。
 
 
宿主の皮膚内に産卵された卵は、他のダニと同様に、幼ダニ、若ダニ、成ダニと段階を経て発育します。
 
 

卵(egg) → 幼ダニ(larva) → 第1若ダニ(protonymph) → 第2若ダニ(deutonymph) → 成ダニ(adult)

 
 
卵は約6日で孵化し、一世代には約24日を要するといわれています。
 
 
また、卵は運動性がなく、幼ダニと第1若ダニとはわずかに半円運動をしますが、前進はほとんどしない。第2若ダニ、成ダニは運動性がありますが、宿主の体内移行はしないようです。
 
 
ニキビダニの鋏角はナイフのようになっていて、宿主の組織を傷つけて体液を摂取しています。また、ニキビダニは外界の環境に対して抵抗性は強く、ダニのいる皮膚を切りとって湿った冷所に保存するとダニは約20日も生存しているといわれています。
 
 
感染はダニが寄生している宿主と健康な動物とが接触する単なる機械的な方法によって行われます。しかし、宿主の寄生ダニをとり出して他の動物に人工感染させてもなかなか感染しない。
 
 
イヌニキビダニは犬のうち幼犬、短毛種の犬に寄生が多く、また、着色犬すなわち、褐色、茶色、黒色の犬に多いとのことです。
 
 
さらに、ビタミン欠乏のときか、衰弱したり、ジステンパーなどにかかっている犬に発症がみられます。
 
 

ニキビダニの害

 
 
人のニキビダニの寄生は世界人口の約50%といわれています。
 
 
しかし、ニキビダニが宿主に寄生しても必ずしも発症するとは限らないで、正常な状態でいることもあります。また、発症してもその症状は複雑です。
 
 
一般的に単独感染では痒みや痛みなどほとんどなく、脱毛、皮膚血管拡張、充血、発疹などが主徴です(落屑型)。
 
 
しかし、二次的に細菌、とくに化膿菌が感染すると膿疱をつくることがあります(膿疱型)。
 
 
犬の場合は仔犬に多く、成犬に寄生しても無症状のことが多い。またイヌニキビダニとイヌセンコウヒゼンダニ(かいせん虫)との混合感染もみられます。
 
 
牛にウシニキビダニがが寄生すると、皮膚は粟粒大から径1.5cmほどの結節をつくり膿疱を形成することもあります。
 
 
寄生牛は皮革としての価値を減じます。
 
 
豚の場合は全身に小膿疱を形成することがあります。
 
 

ニキビダニの駆除

 
 
ニキビダニの駆除には数多くの殺虫剤が使用されていますが、このダニは皮膚内に寄生しているので、殺虫剤の外用だけでは完治しないことが多い。
 
 
宿主に低毒性殺虫剤を外用するとともに、内服を併用することが必要でしょう。また、細菌の二次感染を防ぐ目的で抗生物質などの注射をすることもあります。
 
 
犬舎は清潔にして殺虫剤を散布するとともに、2頭以上の犬を飼育する場合にはひとつのかこいの中に同居させないということも感染予防上重要です。

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