色素性角膜炎(pigmentary keratitis)
表層性角膜炎の一種で、特に角膜縁の所から新生血管とともにメラニン細胞の移行がみとめられるものをいいます。角膜色素沈着の原因として、ストレス、角膜上皮の血管新生、実質性角膜炎の結果およびぶどう膜から色素細胞の移行などが挙げられます。
治療は先ず原因となるストレス、刺激を取り除くことですが、特に角膜中心で視力を妨げる場合の外は外科的処置は行わない方がよい。外科的処置としては、色素部を薄く、眼科刀で剥ぎ取り、石炭酸腐蝕を行うか、角膜侵入血管を結膜部で切断する。
これらの処置後にアトロピン点眼、抗生物質の局所適用、ビタミンA投与などを行う。
深層性角膜炎(deep or interstitial keratitis)
本症は角膜の深い層の毛様血管新生とびまん性の角膜白濁を主徴とするもので、原因としてジステンパー、肝炎などのある種の全身病に継発するもの、眼の外傷・外科手術の結果、激しい潰瘍性角膜炎から、扁桃腺、歯、中毒などから、が考えられています。
治療としては、原因と考えられるものに対する処置をまず行う。すなわち、全身感染のあるものには、たとえばクロラムフェニコール、サルファ剤の全身投与を実施し、局所の温罨法、ステロイドの結膜下注射を行う。
深層血管の新生から、当然角膜中層に対する処置を考える。X線照射、前房穿開などを行って効果ありとする人もある。
潰瘍性角膜炎(ulcerative keratitis)
角膜組織に細胞浸潤、組織崩壊、欠損を生じたものを角膜潰瘍と呼び、比較的深層にまでおよんだものです。疼痛、羞明、流涙、眼瞼痙攣を主徴とします。
原因としては、外傷後の感染化膿、細菌性、ウイルス性、カビ性、栄養性その他のものが挙げられます。特に緑膿菌、カンジダなどは、犬にはかなりしばしば検出されるといわれる。
さらに、ペキニーズ、パグ、ボストンテリア種などは、特に罹患の素因があるとされています。さらに進行して前房に達したものは角膜穿孔perforatio corneaeという。
急性又は慢性角膜炎の際、あるいはその後遺症として発する。飼料中の蛋白質、ビタミンの欠乏も素因となることがあり、さらに角膜ぶどう腫staphyloma、前房蓄膿hypopyonなどが継発することがある。
治療法としては、おのおの原因となる外傷、不良感作を除去し、化膿の防止と欠損の修復に努める。潰瘍部の除去には、亜鉛華の吹き付け、ヨードチンキ、石炭酸の少量塗布などが、従来知られている。
ペニシリン、クロラムフェニコール、肝油、牛乳の塗布、ビタミン補給も必要です。鎮痛のための局所麻酔薬の点眼、0.1%のアドレナリン点眼、炎症激甚の時のステロイド使用なども考えられる。
さらに慢性化の場合には、結膜弁作製法も試みて有効とされる。前房蓄膿を伴う症例には、前房穿開術または角膜形成術keratoplastvが行われる。

